断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

珍しく早朝から大雨が降り、8時ごろにやんだ。朝食をセミナーの団体に寄食し、早々に森へ出る。

今日で最後の調査である。久々にカメラを持ち、ヒメサスライアリを探しながら、森への別れを告げる。すでに見慣れた景色となってしまったが、今日でお別れかと思うと、しみじみさみしく感じ、せめて目に焼き付けようと思う。ヒメサスライアリを含め、なんら珍しいものには出会わなかったが、トラシャク、シロスジカミキリと同属で紋の赤い種、その他小昆虫など、数枚の写真を撮ることができた。

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午後から好白蟻性昆虫を狙ってみるも、良い材が見つからず、1時間であきらめる。また、昼休みに着替えるとき、大事な場所に2頭のダニが付いていることに気付いた。例のゲキツウダニである。どうにか写真を撮影し、涙をこらえて外し、アルコールに漬けた。種名と本来の寄主がわかればいいのだが。そういえば今朝、ダイクスさんがゲキツウダニの経験を話してくれた。やはり痛いようだ。

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毎日の5時間以上の歩行で疲れも限界に達している。1ヶ月というのはちょうどよい期間かもしれない。今日は何度か息が切れた。

朝から大学へ戻ったロスリーさんが夕方に息子さんを連れてやってきた。4年前には小さな男の子だったが、15歳となった今はずいぶんと背が高くなり、大きく抜かされてしまった。

夕食は近場のレストランでトムヤムミーを食べる。町から離れるとずいぶん物価が違うもので、わずか3リンギ(≒100円)だった。といっても、いつものようにご馳走になってしまったのだが。

食後に荷物の片付けなどをする。標本に関して、日本に戻ってから研究をお願いしなければならない人、標本を送らなければならない人の顔や名前が多数浮かぶが、そういった連絡や発送の作業は果たして終わるだろうか。

21時過ぎからロスリーさんと話しこむ。将来、マレーシアの甲虫の写真ガイドブックを作ってほしいと言われた。マレーシアでは20年前に出版された(誤りの多い)小さな甲虫図鑑があるだけで、一般向けの良い甲虫の本が一つもないという。今回も相当な種数の写真を撮ったし、何年か掛ければできないことではないだろう。

また、宿舎の建てかえや発電施設等の計画を聞いた。先延ばしになっているが、いつかは実現したいとのことだった。今のままでも十分良いが、もし電気が通り、機械類の使える施設ができれば、世界有数の施設になるだろう。

今晩は虫が非常に多い、蛾の数もかなりものだ。またオオミツバチが多く、天井から滴り落ちる水、つまりオオミツバチの小便の雨には閉口した。網で掬って殺す作業を繰り返す。

1時ごろにようやく荷造りが終わる。明日は早朝に出発だ。