断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

これからしばらく雨が続くようなので、タロー君を誘い、最後の「春」を見に再びPalos Forest Reserveへ出かけた。11時半にバス停へ到着。今朝の気温は9℃しかなかったのだが、すでに20℃を超えている。

セミは最盛期という感じで、朽木の下に待機している幼虫は日曜から激減した。孤立した木の下には羽化に失敗した半幼虫と抜け殻が10センチくらい積もっており、それがなんとも言えない異臭を放っている。おそらく幼虫が夜の殺到し、互いに羽化を邪魔しあうのだろう。また、昼間に羽化している個体もぽつぽつ見られる。たしかに何万というセミに囲まれるとかなりの音ではあるが、それでも日本のセミのほうがうるさいということでタロー君と同意した。

f:id:maruyamana:20070606144231j:image

f:id:maruyamana:20070606144829j:image

今日は日曜と違う場所へ入ってみたが、林床が明るく、我々の好むネクラ虫にはあまり好ましくない環境が続いた。シカゴの夏は非常に暑いそうで、明るい林床はおそらく高温にさらされるのであろう、朽木が乾いており、虫も少ない。乾いた場所を好むハネカクシの一種Staphylinus sp.やアカハネムシの一種Neopyrochroa femoralisが見られた程度。16時頃まで粘ったが、良い場所が見つからないので、日曜の場所へ移動した。

f:id:maruyamana:20070606130848j:image

f:id:maruyamana:20070606140431j:image

移動先で少し歩くと、中が空洞になった大きな倒木が見つかった。中に土になった木屑が溜まっており、それを掻き出すと、オオチャイロハナムグリOsmoderma scabraもしくはO. eremicola)の幼虫がゴロゴロと出てきた。飼育用に20頭ほど土と一緒に採集する。10メートルあまりの木の中がずっと同じ状態で、まともに採集したら軽く100頭くらい採れてしまう。幼虫には大小の2つの大きさがあり、大きいほうは一昨年、小さいほうは昨年うまれたものだろう。いつ蛹になるのだろうか。日本のものは秋に繭を作るそうなので、それと同じだったら、来年の春になるかもしれない。

f:id:maruyamana:20070606152148j:image

f:id:maruyamana:20070606152129j:image

今日もXenodusaを探す。寄主であるオオアリの一種Camponotus pennsylvanicusはどこでも普通に見つかるが、Xenodusaは一向に見つからない。ここで採れた古い標本が博物館にたくさんあるのだが、どういうことだろうか。

朽木を崩すとツヤハダクワガタの一種Ceruchus piceusは相変わらず多い。タロー君は喜んで採集している。

f:id:maruyamana:20070606160109j:image

また、ルリクワガタの一種Platycerus virescensはほとんど終わっており、樹皮下で死んでいる個体が多かった。その他、かっこいいフタコブルリハナカミキリの仲間Stenocorus schaumii、粘菌に集まるタマキノコムシの一種、キマワリに似てずんぐりしたゴミムシダマシMeracantha contractaなどが目を引いた。

f:id:maruyamana:20070606165623j:image

f:id:maruyamana:20070606163213j:image

f:id:maruyamana:20070606140936j:image

※今日のストロボ具合はよかったです。

クリックおねがいします!