■
まずは標本整理。先日のタイ調査では新しいスクリュー蓋のチューブを持っていったのだが、ロットが悪かったらしく、半分以上のチューブからアルコールが漏れていた。前回のマレー調査にも同じメーカーの同じ型番のものを持っていったのだが、そのときのロットには一本もはずれがなかったのに。仕方なく、チューブにアルコールを足し、ひたすらテープを巻いた。
その後は撮影。マレーシアで未記載種のヒメサスライアリ(写真上)からMalaybergius aenictophilaというハネカクシの一種が採れたのだが、今回のタイではそのアリによく似たヒメサスライアリ(写真下)から同属別種のハネカクシが採れた。それで、アリのほうを詳しく比較してみたら、そっちのほうもどうやら別種のようだとわかった。こうして並べてみるとよくわかる。
ところで、ウェブや本で、今流行の全焦点撮影したアリの写真を見ると、台紙や糊がべったりと写っているものが多い。虫屋としては、その感覚がどうにも不思議でたまらない。せっかくきれいな写真を撮るのだから、少し工夫をすればよいのにと思う。水につけてアリを剥がし、透明な板に再び貼り付けて横から撮ればいい。それと、背景に無頓着な写真が多いのも気になる。アリの毛は、なかには黒い剛毛状のものもあるが、たいていは白や黄色いものなので、背景が明るいとどうしても毛が消えてしまう。少なくとも毛の色の薄いアリには黒っぽい色の背景を選ぶべきである。これら点を踏まえると、今日貼り付けた写真は、なかなか良い線を行っていると思う(展足がいまひとつだが)。
画像合成ソフトは「CombineZM」というものを使っている。博物館のパソコンに入っているもので一番できあがりに間違いがないので使っているのだが、さっき調べたらなんとフリーソフトのようだ。カメラからの画像の取り込みには「Capture One Pro」というのを使っており、こちらは割りと高いソフトだった。