断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

午前中に加藤研へ行き、加藤先生と少しお話しした後、学生部屋の様子を拝見する。予想通り面白かった。
何が面白いかというと、学生さんのテーマが、分類群にこだわらず、実にいろいろな生物である点、そして、それらの生物がそこらへんの普通の生物ではなく、その存在自体に感嘆符が付くものばかりという点である。後者に関しては、身近な生物に新しい知見を見出してこその科学などと異論を唱える向きもあるかもしれないが、珍しい生物を研究材料にあつかうことができるということは、それは広範な生き物に対する知識、つまりはあるべき基礎に裏打ちされているということである。また見知らぬ生き物に関する新しい発見は、単純に多くの人の興味をそそるものであり、生物多様性の理解への貢献も大きい。
私も昆虫以外の生物に強い興味があって、大手を振っていろいろな生物を扱えるいまの職場に就けたのは本当に幸運だったと思うが、将来学生を持ったり、指導したりするときには、加藤研の様子というのは見本とすべき理想的な環境と感じた(まだまだ実力が追いついていないが)。加藤先生をぎゃふんといわせるような研究がしたいものだとも思った。
個人的に衝撃を受けたのは、大小数種のミミズハゼ(研究中の学生さんは不在)で、驚いたことにカップのなかで元気に生きていた。本来の生息場所の状況から、低酸素や水質の悪化に強いのだろう。この春から採集飼育してみたいと思った。
帰りに助手のカンコノキの川北さん、チャルメルソウの奥山さん、ハゼの椿さん、隣の植物分類の方と、京大のそばのレストランで昼食をいただく。やっぱり研究の話は楽しい。店を出る直前に市岡先生と出会う。それからバス停で長太さんに会う。すごい偶然。
それにしても、用務とはいえ、京大ではためになる楽しい時間を過ごさせていただいた。ありがとうございました。
夕方、九大に着き、餅入りチョコレートチロル宇治抹茶食べながら出張の報告書を仕上げる。記憶の鮮明なうちに書き綴って少々長くなった。水槽の水を取り替えた。