断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

「日本の渚―失われゆく海辺の自然」。先日お邪魔した京大加藤件の加藤真先生の代表的な本。この本で私は加藤先生を知り、ファンになった。

日本の渚―失われゆく海辺の自然 (岩波新書)

日本の渚―失われゆく海辺の自然 (岩波新書)

河口からマングローブ林やサンゴ礁まで、日本の渚の景観と生物の優れた総説であり、また先人たちと渚との関係の考証を交えた、現代の日本の海岸の荒廃に対する警鐘である。これらの内容が情感あふれる美しい文章で綴られている。
この本で知った日本の渚の現状は憂うべきものばかりで、ときに怒りさえ覚える。同時に、まだごくわずかに残っている美しい日本の渚と様々な生物に対して、それらが少しでも残って欲しいという著者への共感と、そういった生物に対する心和む愛着を感じた。読み進めながら様々な感情が交叉し、それだけに心に残る余韻は大きかった。