断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日は地元の虫屋さん、塚田さんと同行することになった。塚田さんの提案で、市内にわれわれの(中島さんの)車を置き、塚田さんの車で出発することにする。まずは一番の目的の万之瀬川の河口へ。塚田さんの情報で昨年、場所そのもの(=ハマゴウと干潟の生物群集)が国指定の天然記念物に指定されたことを知る。塚田さんがいなかったらうっかり採集していたかもしれない。それにしてもすばらしい場所。

代わりに同じ川の別の場所へ行く。同じくすばらしい場所。中島さんの開発した効果的な採集法で、早速、ナギサハネカクシの一種Bryothinusa sp.やキバナガミズギワゴミムシの一種Bembidion spp.を得る。とにかくすばらしい干潟に感動した。底生生物の多さで、砂質干潟なのに、干潟がフカフカとしている。
磯に行ってみるが、昨日と似たり寄ったりで面白い場所がない。磯の礫を掘っている人たちがおり、塚田さんがそのなかの一人のおじさんに聞くと、「いそげー(磯貝)」を採っているという。実に色とりどりのヒメアサリをたくさん採っていた。
それから大浦の浜へ行く。怖いほどに広く遠浅で美しい場所。ここでも礫を掘ってヒメアサリを採っている人がおり、沖目にはハマグリを採っている人がいた。このあたりでは天然のハマグリが採れるそうだ。

今回の旅行では、成果は十分でなかったが、南九州の海岸環境のすばらしさにただただ感動した。
もちろん主な課題は好蟻性昆虫だが、中島さんもいることだし、これからは地の利を生かして九州の潮間帯性甲虫を徹底的に調査したいと思う。潮間帯性の甲虫の採集は、環境の選択、虫そのものの発見など、かなり難しい部類の方法だと思うが、中島さんは魚と向き合ってきただけあって、とても採集がうまい。次は6月(願わくば)。