断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

先週、ある方(その方に問い合わせが行くと申し訳ないので伏せておく)から多量の活きたコガタノゲンゴロウをお送りいただいた。早速展示室のゲンゴロウ水槽に入れる。いままではクロゲンゴロウ4頭、ゲンゴロウ5頭、コガタノゲンゴロウ4頭の計14頭が入っていたのだが、なにしろ水槽が大きいので、見に来る人は探すのに苦労されていた。これでかなり水槽がにぎやかになり、見に来る人の目を楽しませることになるだろう。○○さん、ありがとうございます。
さて、そのコガタノゲンゴロウであるが、その方の住む地方ではかなり増えており、多くの地域で確認できるようになっているそうだ。大昔は西日本ではごく普通種だったようだが、戦後に激減、少なくとも10年くらい前までは、本土のほとんどの地域で絶滅、あるいは絶滅寸前となっていた。水田(繁殖・採餌場所)で使用する農薬が自然にやさしくなったのと、減反政策の効果(休耕田=繁殖・越冬場所)であろう。もともと移動能力の高い虫(小笠原でも記録がある)のようなので、これから復活する場所が増えるかもしれない。
コガタノゲンゴロウを初めて採集したのは西表島の水田地帯だった。腰までの深さがある代掻き後の湿田で、畦に寝ている水牛にビクビクしながら、トビイロゲンゴロウと一緒に悠々と泳いでいるのを見つけた。僅かながらにヒメフチトリゲンゴロウも得られ、いまでもそのときの感激が残っている。都会っ子にとって、大きなゲンゴロウというのは大きな憧れであり、それを採る嬉しさは言葉に尽くせない。いまではその水田地帯もかなり縮小したようだ。今度の調査時に少し見てみようと思う。
http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=07170111827
*関東以西の空白地帯は、記録以前に絶滅してしまった県と思われる(低地性なので山地にはいないが)。