断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日は大雪。博多へ来て始めてのことである。昼から大学へ行って、21時には一面の雪、自転車の椅子に4センチくらい積もっていた。
標本にタイプラベルをつけたり、山本君の論文の絵をチェックしたり、その標本の写真を撮ったりした。月曜から福富君が来るので、明日はゆっくり休もうかな。

        • -

面白いニュース。ソコクジラウオ科Megalomycteridaeとクジラウオ科Cetomimidaeとリボンイワシ科Mirapinnidaeの3つの科がそれぞれ雄と雌と幼魚だったという。宮正樹さんの「この仲間の姿の違いは魚類学者の想像を超えていた」という発言がこの顛末の本質を伝えている。
http://www.asahi.com/science/update/0124/TKY200901240035.html
昔、魚の図鑑の裏見返しに深海魚の絵がたくさん出ており、胸ときめいたものだった。クジラウオなんていかにも深海魚らしくてかっこいいが、こういう未知の側面を知るとますます魅力的に思える。
ところで深海を生物多様性の最後の開拓地と見る向きもあるが、私は熱帯雨林にはやはりかなわないと思う。生物を受け入れる物理的な「基質」が熱帯雨林では極めて豊かである一報、深海では全く単調で、私が想像するに、まさに「底が知れている」。熱帯雨林と言っても注目を集めがちな樹冠ではなく、実は人間の目線のある地上付近にもまだまだ見えない多様性が隠れている。そのことをよく知らない生物学者は非常に多いし、たとえ知っていても巨視的に明らかにしようという人はまだいない。私のやりたいのはそこである。