断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

朝から教員会議、昼から3年生に実験指導、それから公開展示の会議、実験室の掃除・・・。今日はあっという間だった。
ここのところほとんど雨がふらないが、この先も当分降らないらしい。

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先日Y根さんとじっくり話していろいろ学ばされた。
Y根さんによると、私は学会発表が上手い危険人物だという。私が上手いかどうかはわからないが、上手い人は危険人物という見方は新鮮で、確かに一理あると思った。Y根さんによると、だいたい他人に上手にモノを教えるというのは一種の洗脳であるという。学会発表も同じこと。
そして教育者は自分が他人を洗脳しているということを忘れてはならないと。これは教育者と学生の関係のみならず、先輩と後輩の学生間の関係にもあてはまるし、あるいは逆の上下関係でもあてはまることがある。それを知っていれば謙虚になるのが自然で、主張の押し付けに違和感を覚えるはずである。
またY根さんはこうも言っていた。だからこそ講義の下手な教員、学会発表の下手な学生も重要だと。みんなが上手かったら面白くない。みんながマジメにコツコツやっていたら面白くない。たしかに、そもそも他人の心にどう響くか、どう残るかは、上手い下手に関係ないのだろう。
なんだかY根さんの話を聞いて気分が楽になり、少なくとも学生指導で肩の凝る悩みを抱えずに済みそうに思えた。そして帰りの電車で思った。「あれ、洗脳されてないか」
その数ヶ月前にゾウムシのY武君に言われた。「学生に自分のレベルを押し付けるな」
彼の前でそんな素振りを見せたことはないが、私がそうしそうな雰囲気を持っているのだろう。また私も、聞き流せなかったところからして、思う節があったのだろう。それから彼の言葉を反芻して、自分の考えの誤りにいろいろと気付かされた。そしてY根さんの言葉がとどめを刺したのである。
他人の意見というのはありがたいし、あるべきときにあるものだとつくづく思った。