断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

7時半に「松村さんが早く採集に行きたいそうです」と中瀬君に起こされる。連日の長距離運転で少々疲れていたので起きるのがつらかった。朝食はホテルの近所でロッティチャナイ。
いろいろと用事があり、8時半に出発し、9時前に19マイルに到着した。途中、4か所で道路のわきが崩落していた。よほどすごい雨だったようだ。今日は暑いほどの晴天。
私は追加のFITを、昨日中瀬君が仕掛けた丘の上に設置に行く。ちょうど昨日の子供に出会ったので、川に水を汲んでもらい、保存液を作り、上へと運んでもらう。昨日は平気な顔をしていたが、彼もさすがに今日は疲れたようで、息切れしていた。私も息切れした。
10基しか残りがないので、場所を慎重に選ぶ。なかなか良い場所だが、薪を切り出しているため、木がやや疎らで、林床は草に覆われている。草のない場所を選んで設置した。
私がハムシを採っていると、ちょうど赤ちゃんをおんぶしたお母さんとおばあさんが通りかかったので、こういうのを採っているのだと見せる。すると、なにかわかったような事を言ったので、毒瓶を渡してこれに採集しておいてほしいと頼んだ。
12時に松村さん、中瀬君と集落の下で集合。パンを買って食べる。松村さんは川に落ちたそうで、ずぶ濡れになっていた。松村さんは5分も休憩せずに採集に向かってしまった。
私は子供にあげる飴玉を買って、昨日仕掛けたFITの様子を見に行く。とくに問題は見当たらなかった。ついでにヨコヅナアリをおびき寄せるためのヤシ油をあちこちにばらまく。14時前にはもう疲れ果てたので、道に座って飛来するハムシを待つ。すると子供が見に来て、採集を手伝い始めた。予定通り、飴玉を渡す。ところがなかなかハムシを採ってこない。なぜかカメムシばかりだった。
しばらくバス停で中瀬君と休憩し、午前中に毒瓶を渡したお母さんの家に行く。すると毒瓶いっぱいのハムシをとってくれていたので、5リンギ(1リンギ=28円)で引き取る。多少テントウムシなどが入っていたが、ほとんどハムシだった。ハムシというのは多彩な姿をしており、私が最初に見せたのはわずか数種だというのに、どうしてハムシという分類群を認識できるのだろうか。

それからバス停で中瀬君と合流。ケラを拾ったというので頂戴する。胴体が真っ黒で、足がオレンジ色という逸品だった。それから原住民の若者と話す。中瀬君がヤミスズメバチを持っていたので見せ、「彼はこの家(巣)が欲しい、この蜂を勉強しているんだ」と説明し、巣探しに協力してもらえることになった。明日の朝に探しに出かけることになった。

松村さんは網の枠を折っていた。2日目にして・・・。
今晩はGunung Jasarという山の頂上で灯火をやることにし、18時頃に宿を出て山へ向かう。出る前に今日から合流する別府さんに網の枠の予備を持ってきてくださるようお願いした。
道に迷ってようやく登山道へ入ると、にわかに雨が降り始めた。最初に道に迷ったのが幸いし、それほどひどい目に逢わずに引き返すことができた。残念だが、Tanah Rataは雨が多く、夕方に降られないほうが珍しいので仕方がない。
夜は中華料理。臭豆の炒め物、シンガポールビーフン、玉子餡かけ焼きそば、野菜炒め、鳥から揚げのレモンソースかけ。
夕食後、雨がやんだのでRingletという19マイルとTanah Rataの間にある町の付近に灯火採集をしにいく。中瀬君のネジレバネが採れてないので、少々頑張る必要がある。崖の上の良い場所を見つけ、設置。ものすごい数の蛾とヤミスズメバチがやってきた。

中瀬君は意気揚揚と灯火の採集物を見るが、ネジレバネはおろか、蛾とハチ以外はほとんどなかった。甲虫はほぼ皆無。
23時過ぎに別府さん到着。明日の朝から一緒に行動するのが楽しみだ。