断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

8時頃起床。10時間以上たっぷり寝たが、ちょうど良い具合だった。朝食はトムヤムラーメン。
今日は天気が良かった。川沿いの森にヤシを切って芯材部を棄てた場所があり、それが発酵してイナヅマチョウがたくさんいたので、田中君にそこに蝶を採りに行くよう勧めた。松村さんはハムシ採りに、吉村さんは川へ泳ぎに出かけた。夜間採集をがんばろうと、私はベッドに横になって読書をする。
夕刻より雷鳴と少雨。幸い、すぐに止み、雲は高くなった。
18時過ぎ(実際には17時過ぎだったのだが)に南の森の崖の上へ蛍光灯トラップの点灯に行く。もうすっかり道には慣れたが、急勾配の滑りやすい林床を歩くのは楽ではない。
晩は野菜炒めに魚と豆の缶詰を加え、オイスターソースで炒めたものを作った。18時過ぎにみんなを呼んで食事にし、19時を過ぎたのでビームライトの灯火採集に出掛けるが、なぜか外はまだ明るい。
道すがら田中君に、「もう19時を過ぎているのに、今日はずいぶん明るいねぇ」と言ったら、田中君は「え? まだ18時過ぎっすよ」と言った。私の時計には世界時計が付いていて、その時間を1時間進めてしまっていた。そのために私は1時間早い食事を皆に摂らせていた。それ以前に誰も「今日は早いですねぇ」とかなんとか言わなかったのも不思議に感じられた。
別府さんがお菓子を買ってきてくださった。19時過ぎに宿舎の付近の道端に灯火採集に出掛けた。今日は曇天で状況は悪くなさそうだったが、どういうわけか虫が少なかった。ヒメサスライアリのオスは数頭やってきたが、他にめぼしいものは来なかった。別府さんは夜中の倒木で金ピカのマンマルコガネを採集されており、「貸して」いただくことにした。
川へカエルを探しに行っていた吉村さんが戻ってくる。何と、巨大なヒキガエルを抱えていた。その大きさに一同驚愕した。
再び吉村さんは川に出かけ、しばらくして戻ってくると、撮影したビデオを見てくれた。驚いたことにヤマネコの一種、XXの映像ではないか。こんな身近にヤマネコがいるとは驚いた。この森も奥深い。
0時過ぎに田中君と蛍光灯トラップの回収に行く。途中、先日見つけた立ち枯れで甲虫を採集する。蛍光灯トラップの中身は好調だった。今日は条件が良いので、電池の交換をして、朝まで点灯することにした。
それから宿舎の付近の森を探索し、ユビナガヤモリを採集したり、ゴキブリゴミムシやゴミムシダマシを得た。ハシリハリアリの一種Leptogenys distinguendaの引っ越しを見つけ、いくつかのハネカクシやシミを採ることができた。
2時過ぎに宿舎に戻り、回収した蛍光灯トラップの中身を軽く選別する。アルコールで受けているので、そのまま長く置くと、甲虫の標本は硬くなって展脚できなくなる。展脚の不要な極小種以外の甲虫を抜き出し、毒瓶に入れる。こうすると、一時的にアルコールで硬くなった甲虫も良い標本にできる。
中身はなかなかすばらしかった。驚いたのはStrabocephaliumという巨頭の好蟻性ハネカクシで、この属は半島マレーシアから記録がなかった。ボルネオではFITで容易に採れるものなので、半島にはいないものと断じていた。これまで散々来ているここで採れていないのが何より意外であった。
3時過ぎに就寝。