断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

昼から大学へ行く。駅前の中華店「天天」で上海蟹ラーメンを食べる。4年生の藤原さんは風邪でお休み。最近は研究室で風邪がはやっている。私もかかってしまった。堀江さんが一所懸命にDNA解析の準備を進めていた。
夕方より、来年から修士で入学する広島大学の金尾君が研究課題の相談に来た。熱帯を調査地として甲虫の分類を始めたいとのこと。私もちょうどそういう人を探していたので、何という機会だろうと思った。「やられていないから」、「新種がたくさんいるから」という理由で分類の研究を始めさせるのはもちろん不適切な指導なので、付加的な研究も面白く進められるような良い分類群を決定したいと思っている。
夕方から、大原君、松尾君、堀江さん、安藤さん、山本君、それに金尾君、同じく来年から修士に来る弘岡君で、「いっちゃん」でモツ鍋。
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分類の研究対象を選ぶとき、対象に対する見方には、おおまかに二つのものがある。
一つは、先行研究の充実した分類群。情報が多いだけに深い研究ができるが、新たな切り口を見つけ出す鋭い感覚が必要となる。
もう一つは、先行研究の少ない分類群。たいてい種数が多く、分類が難しい。いくらでもやることはあるが、一から始める開拓者精神が必要で、いかに面白い現象を探し出すかにかかっている。
後者については、安易に材料を選ぶのは危険で、いざ就職を考えるときに、「どう売り出せばよいか」を悩むことが少なくない。そういう気の毒な人を何人も見てきた。したがって、材料を選ぶときに、ある程度の面白さを見越す必要がある。
いずれにしても多くの知識が必要だが、それこそ教員の腕の見せ所である。私はまだ経験が少ないが、熱帯の昆虫ではいくつか心当たりがある。