断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

朝からぶっ通しで衛生管理者の講習を受けた。さすがに同じ講義を7時間も聞くというのは疲れる。話す講師の方も大変だったろう。感触としては、1ヶ月くらい勉強すれば受かりそうな気がした。でも勉強しなければ落ちる気がした。
土曜日にみんなで登山に行くので、板谷君とミッシとそのコースについて相談した。久々なので、登り2時間くらいの短いコースにした。今回は比較的大勢で行くので、楽しみだ。
それからミッシとシーケンスをかけに行く。「もう一人でできると思うけど、念のために黙って見ていてあげよう」ということで付き添ったのだが、驚くべきことに・・・間違えた。
小松君がサラワクのランビルから戻ってきた。まずまずの収穫というところか。あてにしていたヒメサスライアリのハネカクシは採れなかったようだ。小松君にとっては夢にまで見た虫が採れたそうで、そのロゴマークを作成して送ってきた。残念ながらフォントがいまいちだ。

カナダの友人から昨日送った論文の原稿が戻ってきた。「早く見た」とのことで、助かった。それを早速訂正。スミソニアンの某氏と交渉していたハナアブ標本の返却が実現しそうだ。そんなこんなで終電。
10月のタイ調査が決まった。マラリアが猖獗をきわめる地帯だそうで、宿泊するロッジの各部屋の中にテントを張って寝るという。現地の人も心配している様子なので、よほどなのだろう。しかも厄介なことに、ビルマ国境にあるメフロキン耐性のマラリアの分布域で、予防薬がほとんど効かないし、治療も普通の熱帯熱マラリアより難しいそうだ。刺されない対策を万全にしなくてはならない。「パワー森林香」をたくさん買っていこうと思う。

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日本の甲虫の論文が2つ出た。
Kato, M., A. Kawakita and T. Kato (2010) Colonization to aquifers and adaptations to subterranean interstitial life by a water beetle clade (Noteridae) with description of a new Phreatodytes species. Zoological Science, 27: 717–722.
井戸から採れるムカシゲンゴロウの仲間の新種が河の砂礫層から採れたという報告。ものすごくびっくりした。また、ムカシゲンゴロウ属と同時に記載された「ムカシゲンゴロウ科」がコツブゲンゴウ科に含まれることをDNAにより検証した。これは近年提唱された形態による仮説と一致する。木の枝から森を見たような素晴らしい論文。さすが加藤先生。
Hojito, S., N. Kobayashi and H. Katakura (2010) Population structure of Aegialites beetles (Coleoptera, Salpingidae) on the coasts of Hokkaido, Northern Japan. Zoological Science, 27: 723–728.
北海道産イワハマムシの遺伝的構造。要は別沿岸で2種いるという内容だと思われる。イワハマムシは最近、千島からベーリングの島ごとに別種に分けられた。それらの関係が気になる。各種の独立性には検討の余地があるが、おそらくほんとにかなり地理的に分化しているのだろう。北大理学部動物系統の得意分野。