断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

【今回の旅行の総括】
結論から言いますと、すでに「冬」、日増しに寒くなってくるところで、大型美麗の甲虫はほとんど採れませんでした。熱帯に行ったことのある方であればわかると思いますが、毎晩のライトでクロツヤムシさえ1頭も来ず、スジコガネが合計5頭ほどでした。これにはびっくりで、そんなに採れないだろうとは覚悟していましたが、自然は徹底していました。
ただ、専門のアリの巣の虫は(乾季を除いて)あまり季節がありませんので、非常に良いものがいくつか採れました。とくにハネカクシでは、新属は1つ、あきらかな新種は6種ほど採れました。既知種ですが、1961年にタイで採れて以来、全く追加がなく、正体不明だったもの(同属の既知種が、この種を除いてすべてアフリカ産)も採れて、一人で大興奮したりました。また、好蟻性のコガネムシの生態の判明したものもあったりしました。
あと、FITでヒゲブトオサムシも2種採れました。1つはEuplatyrhopalus という、信じられないくらいすばらしい造形のものです。FITでは他には糞虫さえほとんど採れませんでしたが、これが採れただけで掛けた価値がありました。前から欲しかったもので、今回採れないか少しだけ期待していたので、採れたときには狂喜しました。
こんなの雰囲気→ http://www.meloidae.com/en/pictures/16336/
ツノゼミは思ったほどではありませんでした。大型で目立つものは3種。地味なマルツノゼミやモジツノゼミみたいなのが6−7種でした。
環境としては、いままで訪れた東南アジア国立公園では群を抜いて最高の場所で、虫を採るのは難しいですが、ものすごい「可能性」を感じる場所でした。山が深く、普通に車で入れるのは、東側のごくわずかな地域で、西側の奥地はレンジャーを雇って登る必要があるとか。
とにかく哺乳類や両生爬虫類の影が多く、何度もいろんなものを見ました。熱帯で多数の哺乳類やリクガメを見るのは、特殊な場合を除いて通常は困難です。毎朝大小様々な色んな動物のフンが道路に落ちていて、さらにそこには夥しい数のチョウが汁を吸いに来ていました。(チョウも季節外れだそうで、良い時期にはもっと種数が多いそうです。)
可能であれば、来年の6月ごろにまた行きたいと思っています。