断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

新世界、とくに南米の生物相は他地域のそれとは大きく異なります。ある地域の生物相を特徴づけるのは、特定の分類群の突出した繁栄にほかなりませんが、南米では多数の繁栄した分類群が他地域のそれとは大きく異なっているわけです。
動物界最大の分類群である甲虫に限っても、その例は枚挙に暇がありません。有名なところでいえば、カブトムシがあります。南米におけるカブトムシの多様性は、他地域に比べてずば抜けており、ヘラクレスオオカブトやゾウカブト類などの巨大種はもちろん、それに小型種の多様性は素晴らしいというほかありません。その代わり、東南アジアで大繁栄しているクワガタムシは、南米では全くお粗末であり、すべて固有の属ではありますが、種数はきわめて貧弱です。
ハムシ科を見ると、アジアでは小型で地味な種の多いトゲハムシ亜科(カメノコハムシ亜科を含む)Hispinaeが大きく栄えています。写真は1.5センチメートルほどのカメノコハムシの類(上2点)と4センチメートルほどもある巨大なホソヒラタハムシ(下)です。とくに巨大なホソヒラタハムシにはびっくりしました。東南アジアには単子葉植物につくホソヒラタハムシ類に2センチメートルほどの大型種がいますが、このように大きくてきらびやかなものは希です。