断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日も登校日。今日の展示は大入りだった。また、高知から昆虫を研究したいという高校生とそのお父さんがお見えになり、研究の話しや進学の相談に乗った。
雑用のあいまに溜まっている標本を少しだけ作る。Darthula hardwickiiという珍奇昆虫の標本を少し作るが、見れば見るほど珍奇で感心した。以前に生態写真は掲載したが、標本写真は後日。

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この週末、難病を抱えたり障碍を持つ子供たちが全国から集う「がんばれ共和国 阿蘇ぼう!キャンプ」(阿蘇)に阿部さんが参加され、一足先に昆虫のベッドサイドミュージアムがひらかれた。私はいけなかったが、昆虫の展示は予想以上に好評だったそうだ。自分の意思で身体を動かす事が難しく、大型のストレッチャーで生活している昆虫大好きという20代の女の人が、目を輝かせて標本を見ている写真が送られてきた。協力できてよかったとしみじみ感じた。彼女のおかあさんはこう言ったそうだ。
「展示を見に行っても、いつもこの子には見せてあげられない。展示台を覗けないから。だからこんな風に見せてもらえてすごく嬉しい」 
この言葉に、「バリアフリー」で安心してしまっていたこれまでの展示の問題点と、今回のような展示の可能性が集約されているように思える。
http://www.geocities.jp/fukuoka_soken/gannbare.htm

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今回の遠征で活躍した道具。吸虫管、篩、バット、ピンセット入れにピンセット。これらに加え、ゴム引き手袋と穴掘り用の鍬も重要だった。
篩は山根さんが使われているもので、スリースノー製「ピシャット角深ザル;網目/6.5メッシュ;31008」というもの。朽木を割るには少々弱いが、持ち運びに便利だし、大きさもちょうど良いし、きっちりはまるバットが売っているのもよい。
ピンセット入れは以前に先輩虫屋の方に作っていただいたもので、これ以上ないくらい便利で、大事に使っている。普段はズボンのベルトを通すところに取り付け、ポケットの中に入れている。野外におけるピンセットの運び方というのは意外に難題で、ピンセットの先を折ったりせず、なおかつ体にピンセットがささらないようにするには、このような入れ物が必要になる。もちろん、かばんの奥底に仕舞ってしまっては、必要なときに取り出せないので意味がない。
ピンセットは鋭く腰の弱いものが良い。高価だが、野外でもできるだけ良いピンセットを使いたい。
アリをつまむのには、ピンセットを使うのが普通だが、多数の個体がいる場合や、小型種の場合、飼育に使いたい場合は、絶対に吸虫管があったほうが良い。虫を傷めずに採集することができる。