断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

中毒

駅から家に向かう途中にコンビニがあって、帰りに意味もなく立ち寄ってしまう自分に困っている。そして意味もなくお菓子を買って、意味もなく夜中に食べて、意味なく太ってきている。このように、コンビニに立ち寄って何かを意味もなく買ってしまうのは、人生における時間の浪費であり無駄な出費であり余計なカロリー摂取であることは自覚しており、毎晩、軽い後悔を覚えている。「中毒」という病態の特性として、必ず「後悔」が伴うというが、そういう意味で私のコンビニでの買い物は中毒の一種といえるかもしれない。幸い、いまのところ、コンビニでお菓子を買うためにサラ金で借金を重ねたりはしていない。もちろん、コンビニにまつわる私の行動のすべてに意味がないわけではなくて、立ち寄ることに何らかの意味を見出す場合もある。それは出勤時に必ず買うアイスコーヒーである。家から駅までは起伏があって、暑い日だと駅に着くまでに体が熱くなる。だから、電車に乗る前にアイスコーヒーを買って、駅のホームでほっと一息つき、一日の仕事に備えるのである。これに関しては後悔しない。汗をかきながら歩きつつ、強い意志を持ってコンビニに突撃しているのだ。鼻息荒く、心の中で「アイスコーヒー!アイスコーヒー!!」と連呼しながら、コンビニの冷凍庫へスタスタと歩く。手に持った氷のように涼しげな顔でささっとレジを済ませるが、頭の中は煮えたぎったアイスコーヒーでいっぱいである。慌しくペリっと蓋をはずしてアイスコーヒーのボタンを押す。ジョボジョボジョボ。間髪入れずに一口。期待したほど美味しいものではないと昨日も思ったことを思い出す。だが、後悔はしない。だから中毒ではない。胃を伝わる冷たい流れと喉ごしのために飲むのだ。いや、中毒ではない。中毒ではないから後悔してはならないのだ。