断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

ガガイモ好きを増やしたい

私が多肉ガガイモ(ガガイモ亜科スタペリア連)を集めているのは、このブログでも何度か書いた通りである。昨年秋に一戸建てに引っ越す後押しをしたのも多肉ガガイモで、温室で上手く育てたいというのが大きかった。

こんな風に夢中になっている多肉ガガイモ(以下、ガガイモ )ではあるが、日本の愛好家はとても少ない。根強い人気はあるにはあるが、ガガイモだけという人はほとんどいないだろう。しかし、ヨーロッパではガガイモ専門の趣味人がかなりいる。ヨーロッパ人会員を中心とした国際ガガイモ学会(ガガイモ亜科全体だが、記事はスタペリア連中心)もあるし、フェイスブックのガガイモグループもヨーロッパ人を中心に1万人を超える。(タイ人や台湾人も多い。)

ガガイモの魅力は何と言ってもその珍奇な花である。ハエ媒介という共通性も手伝ってか、一部はミニラフレシアのような姿で、匂いこそ強烈だが、独特の美しさがある。乾燥地に咲く特異な花ということで、砂漠のランと評されることも多い。また、茎もそれ自体が美しい。程よく陽に当てると迷彩柄の浮かび出るものあるし、サボテンやエウフォルビアと収斂しているトゲトゲや丸い形のものもある。

それではなぜ日本で人気がないのか。よくわからないのだが、おそらくまだその魅力が十分に広まっていないのと、一部の入門種を除いて栽培の難しさがあるのではないだろうか。栽培が難しいので、魅力的な花を見ることなく終わってしまう人が多いものと思われる。交流のあるドイツ人愛好家曰く、グループとしての平均的な難しさは多肉植物の中では指折りとのことだった。

私は2年前に本格再開した初心者だが、だんだんとコツがわかってきた。大切なのは、しっかりとした送風(送風機で風を当てるのが絶対)、十分な保温(多くは20~30℃が適温)、適当な水やり(多肉としては多めだが、数日で乾く量)、弱い日射(直射を好む種は少ない)、害虫防除(カイガラムシとハダニ)、殺菌(フサリウムが怖い)である。これらの点に注意すれば、多少とも園芸歴のある人であれば、それほど難しいものではない。

目下の悩みは、愛好家が少ないために、日本国内でほとんど流通しておらず、流通しているもののほとんどが同定間違いや雑種で、珍しいものは自分で輸入するほかないことである。しかしこれも、昨年末からの植物検疫の締め付けで少々難しくなってしまった。

しばらくはSNSで布教してファンを増やし、数年後に納得のいく材料が揃ったときに、ガガイモの本を出したいと思っている。多肉植物の栽培指南書は数多あるが、ガガイモはまるごと割愛されているか、間違ったことが書かれているものが多い。また、栽培指南書は揃って入門編ばかりで、きちんとした栽培の理屈や、高等技術が出ているものはほとんどない。こういう目標があると栽培にも熱が入るかというものである。

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