断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

空港展示

久しぶりの福岡空港(第1ターミナル)展示の更新。いつもは夜だけど、今日は夕方の空いている時間に作業させていただいた。それでもお客さんが通ると作業中断したりして、少し気を遣う。

今回は細谷さんに原稿を書いてもらって、佐伯さんに英訳原稿を直していただいた。烏山標本から実物のクワガタも展示した。

クワガタなので本当は夏にやりたかったのだけど、予定が合わなかった。春になったら、ルリクワガタに換えたい。
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情熱大陸 その後

今日は本当に久しぶりの雨。秋でカラっとした天気は気持ちの良いものだったけれど、家庭菜園にとっては恵みの雨。タマネギも安心。

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来週に長期遠征(コスタリカ)を控え、気ぜわしい。しかしながら、先日の「情熱大陸」について、記憶の新鮮なうちにひとつ書いておきたい。これを読んでから再び番組を見ると少し面白いかもしれない。

7月くらいにディレクターの小林潤子さんから連絡があり、出演の依頼があった。そして、すぐにその小林さんとプロデューサーの新津聡子さんが福岡にお見えになり、打ち合わせとなった。驚くべきことに、その新津さんは、私が昔から知っていた蛾屋の新津さんの妹さんだった。もちろんこれは偶然。

それから7月末になって、東京での飲み会、講演会など、さっそく密着取材が始まった。福岡でもセミの教室の取材があり、そして8月のタイでの野外調査の取材があった。福岡以降のカメラマンは桜田仁さんという方である。合計3週間の密着で、これは近年の「情熱大陸」では異例の長さだそうだ。

結局、カオヤイ国立公園での取材が一番面白いということで、それ以外の内容は大幅にカットとなった。

カオヤイではひたすらに地面を見て歩くという私の野外調査を密着していただいたのだが、これが大変申し訳なかった。文字通り地面を見て歩くだけなので、カメラマンの桜田さんは常に私の横や後ろ、ときに前を黙々と撮影してまわるほかなかく、「これまでで一番きつい」とおっしゃっていた。いつどこでヒメサスライアリが見つかるかわからないので、常に写しておかないといけないということもある。しかも虫を写すのは難しいときている。

それから帰国して、ハネカクシの解剖の撮影となった。当初これは軽く撮影する予定だったのだが、小林さんや桜田さんからするととても面白かったようで、大掛かりな装置を福岡の業者で借りて撮影することになった。私の顕微鏡に合う装置を探していただくのに苦労されたようだ。

それと、タイの調査の前後は、ひたすらに毎日、中洲の居酒屋へ行き、インタビュー攻めだった。答えるのが難しい疑問をいろいろとぶつけてくださったので、正直言って頭が疲れたが、考えもしないようなことを言葉にする訓練となり、今思うとこれは大変勉強になった。そういえば、タイでも毎日ようにインタビューがあった。

こんな感じで取材終了。小林さんと桜田さんとは、これまでどんな友達とも過ごしたことがないくらい、みっちりと長い時間を一緒に過ごし、お互いの私的なことをほとんど出し切ったと言っていいくらいに話した。そして、最後には別れが惜しいくらいの関係になった。きっとこれからも折々東京で飲むだろう。

ちなみに小林さんが私を選んだきっかけは、「アリの巣をめぐる冒険」で、「昆虫はすごい」はきっかけにすぎなかったとのこと。「アリの巣をめぐる冒険」は私にとって一番愛着のある本なので、これは嬉しかった。小林さんも桜田さんも愛すべき人たちで、こういう嬉しいことがいっぱいあった取材でもあった。

 

丸山宗利(昆虫学者): 情熱大陸

タマネギ植え付け 捕虫用蛍光灯

今日は事前に予約しておいたタマネギの苗を買って、植えつけた。写真を撮るのを忘れた。このところ雨がなかなか降らず、かといって頻繁に水をやりに行けないので、根付くのか不安である。

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新しく導入することにした灯火採集の光源。台湾に行ったときに当地の学生(梁君)が使っていて、虫の集まりがかなり良かったので、真似してみた。12ボルトの捕虫用蛍光灯で20ワット相当の明るさ。5時間ほど持つようだ。

http://ja.aliexpress.com/item/DC12V-20W-36W-Energy-Saving-Black-Light-CFL-UV-light-CFL-BLB-light-trap/32438498232.html

これ単体でも十分だが、最近ではHIDをよく使っているので、それと併用する予定。

紫外線LEDも選択肢としてあるが、波長の範囲が狭く、効果は蛍光灯よりずっと劣る(数はもちろん、集まる虫が限られる印象)ので、大事な遠征にはまだまだ採用できない。こんなに大袈裟でなく、虫がたくさん集まるものがあればいいのだが。

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五島列島の中通島へ

台湾から戻って研究に本格復帰と思っていたが、忙しくてなかなか手があかない。

22日と23日は1泊で五島列島の中通島の鯛之浦教会へ行ってきた。6年前に当館に700箱の標本を寄贈してくださった烏山神父が新たに200箱を寄贈してくださることになり、トラックを借りて、フェリーで引き取りにうかがってきた。

(狭い道があって、トラックの坂道バック発進で坂の下に落ちそうになったりして、運転にヒヤヒヤした旅であった。)

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素晴らしい内容で、展示にすぐに使えそうなものばかり。本当にありがたい。

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畑日誌

2週間ぶりの畑にでかけた。涼しい日が続いているが、野菜の生育は順調である。

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スティックセニョール(ブロッコリー)は収穫間近。

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ブロッコリー、カリフラワー、メキャベツ。

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レタスは順調。

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ゴボウ。キク科らしい雰囲気。

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サトイモは来週収穫。

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ダイコンは害虫の峠を越えて復活した。

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サツマイモ。

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立派なイモができていた。

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ラッカセイ。アライグマが頑張ってほじくり出そうとした痕跡がある。

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まずます。

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ニンジンの畝の半分にサツマイモの蔓がかぶさって枯れてしまったので、そこにミズナの自家製苗を植えた。

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今日の畑の様子。

蘭嶼の寶石

10月8日から14日まで台湾に出かけていた。9-11日は蘭嶼(前後は移動で、採集は1日のみ)、12-15日は阿里山と鹿谷郷というところに滞在した。ツノゼミが目的だったのだが、どうにもふるわず。

蘭嶼でカタゾウムシやカタゾウカミキリを見ることができたのは収穫だった。しかしカタゾウムシは保護昆虫につき採集せずにお別れした。

それにしても、蘭嶼のカタゾウムシはどれも本当にきれいで感動した。5種が生息しており、どれも美しい紋や筋の模様がある。(それに比べて日本のは全身真っ黒で、残念としか言いようがない。)

ところで蘭嶼のカタゾウムシ5種は、島内で種分化したわけではない。カタゾウムシの分布の中心はフィリピンにあり、フィリピンの島々で激しく種分化している。蘭嶼の種は、それぞれフィリピンに近縁種がおり、それぞれの祖先が個別に、海流に乗って蘭嶼に流れ着いたようだ。

5種のうち4種は、青緑色の紋を持つという共通の傾向を持つ。おそらく、ミューラー型擬態の意味を持つのであろう。しかし、1種(右上)だけは白い紋を持っている。もしかしたらこの種の祖先は比較的最近流れ着いたのかもしれないし、この種だけが持つ生態的特徴を反映しているのかもれない。台湾の研究者が現在、フィリピン北部の離島のカタゾウムシを採集し、DNA解析から蘭嶼のカタゾウムシの起源を探ろうとしている。結果が楽しみである。

ちなみにカタゾウムシ5種はそれぞれに異なる植物を寄主としており、全種を1日で採集するのはかなり難しい。今回は台湾師範大学の学生さんの案内で、首尾よく探すことができた。

また、珍種のカタゾウカミキリを2頭も見つけることができたが、これは非常な幸運だった。フィリピンのカタゾウカミキリの大半は、特定の種のカタゾウムシに擬態している。しかし、蘭嶼の種は、5種のカタゾウムシのどれにも似ていない。これについてはいくつか考えがあって、まずはこの中途半端な模様が、どのカタゾウムシへの擬態効果もあるということ。つまり蘭嶼の捕食者(トカゲや鳥)が「カタゾウムシ全般に持つ印象」を体現しているのかもしれない。あるいは、狭い島である蘭嶼にはフィリピンほど捕食者が多くないか、「頭のよい」捕食者がいないので、それほど厳密に擬態する必要がない(捕食者による厳しい淘汰がない)のかもしれない。さらにこれも比較的最近流れ着いて、まだ擬態進化の途上にあるとも考えられる。(ちなみにフィリピンのルソン島にも、D. eldanoiというこの種によく似たカタゾウカミキリで、当地のどのカタゾウムシにも似ていないものがいる。)

 

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Pachyrhynchus (= Pachyrrhynchus) and Doliops of Lanyu. 

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Pachyrhynchus tobafolius

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Pachyrhynchus sarcitis kotoensis

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Pachyrhynchus monilliferus sonani

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Pachyrhynchus nobilis yamianus

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Pachyrhynchus chlorites insularis

カタゾウムシについては、それぞれ亜種ではなく、独立種としていいのではないかと、私は思っている。

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Doliops similis

 

情熱大陸の見逃し配信

gyao.yahoo.co.jp

 

www.youtube.com

 

GYAOとYouTubeでしばらく見られます。こんどの日曜日まで。

これからつらい海外調査のときには葉加瀬太郎の情熱大陸を脳内再生して挑みます。

www.youtube.com

宝満山


週後半は展示の撤収と新たに始まる展示の設営でバタバタだった。相変わらず部屋が散らかっているし、はやく研究を戻らなければと焦りがつのる。
昨日は長い間お世話になった事務の梅野さんのの送別会と新しくパートで標本のデータベース作業をしてくださる方の歓送迎会だった。
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そしてすぐに帰って仮眠し、夜中の3時から、数人で宝満山へ御来光を見にでかけた。もともと過労気味でヘトヘトだったが、山登りは別の気持ち良い疲れで、楽しい時間だった。
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明け方にホットサンドを作ってもらった。
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その足で畑へ。ダイコンの虫食いが猛烈にひどい。ヒメナガメもいるが、大半はダイコンハムシの仕業で、葉っぱのほとんどなくなってしまった株も多い。(農薬は滅多に使わないが)オルトランも全く効かない。面白いのは、品種によってやられ具合が違うこと。耐病総太り系の品種はかなり被害が小さかった。
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クサアリ採集

土日はつくば市周辺で、大阪教育大の学生さん2人、そして農大の杉本君と、クサアリの採集をしていた。
10年前に森林総研の濱口さんらが発見した巣を再訪することになったのだが、大半の巣は変わらずにそのままだった。クサアリの巣が長生きであることを再確認した。
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昨日は昼過ぎから、むし社へ。いろんな良いむしを手に入れた。
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夕方から新大久保の蕎麦屋でツノゼミの賢太郎君と飲んだ。百人町のお祭りで、お店の閉店も早かった。
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