断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

『角川の集める図鑑GET! 昆虫』を制作にかかわって

昨年の5月に『角川の集める図鑑 GET! 昆虫』を出版した。子供向け図鑑である。このような図鑑は小学館の『NEO』、学研『LIVE』、講談社『MOVE』が御三家と言われ、シェアの大部分を占める。そこに角川が新規参入したかたちとなった。以前よりこのような企画…

学名の献名について

学名の付け方に対する考えは人それぞれだがど、私は第一発見者の名前の学名を付けるのが基本で、その人の学名を既に他でつけたとか、共著になっているとか、あるいは同時期に他にたくさんの採集者がいる場合には、地名とか形態とか地名から付けたいと思って…

驚異の標本箱 裏話2

キャッチコピーと文章 いずれも私の担当で、必要に応じて撮影担当者のコメントで訂正するという作業で進めた。吉田さんの文章センスがすばらしいので、前書きをふくめ、表現が磨かれた。キャッチコピーに関しては、軽く自画自賛する程度に、なかなかうまいも…

驚異の標本箱 裏話1

書名 書名は販売において重要である。今回もかなりの議論になった。出版社側からは「図鑑」という言葉を入れたいという提案もあったが、図鑑少年の私には図鑑という言葉に思い入れがあり、それだけはやめさせてくださいと言った。そんなとき、吉田さんが「標…

驚異の標本箱

10月16日に新しい本が出版される。 その名も『驚異の標本箱』 本当にすごい本を出させていただくことになった。 吉田攻一郎さんと法師人響さんとの共著で、160ページのA4変形の豪華本である。昆虫標本の写真集で、全編に深度合成を駆使した美しくも鮮明な写…

海外の野外調査で気をつけること

海外で一番怖いのは人である。だから海外に調査に行くと、出来るだけ早く都会を抜け出し郊外へ、そして人の少ない調査地へと急ぐのが鉄則である。どの国でも田舎は安全なことが多い。やむを得ず街中に滞在する際には、相当に気を張らなくてはならない。場合…

私の作文放浪

高校生くらいから文章を書くのが好きで、懸賞作文のようなものに何度か出したこともあった。大学受験のときには後期試験に小論文が予定されていたので、駿台予備校の小論文と英文翻訳の模試を受けたが、とくに誰からの指導も受けず、良い成績だった。それで…

師匠来る

私が学部時代に師事した直海俊一郎博士が、3月から私の職場の協力研究員として在籍することになり、福岡へ引っ越してきた。 早いもので今から25年前、1995年の学部3年生のとき、直海さんに昆虫分類学の教えを乞うべく、弟子入りした。師匠や弟子などと言うと…

学生にやってほしい課題

遡ること20数年、私は大学院でアリと共生するヒゲブトハネカクシに着手、その過程で副産物的にいろいろな課題を見出し、研究の枝葉を広げてきた。一部は成果となっているが、大部分は私一人の手に負えず、学生に課題として与えることを繰り返してきた。ただ…

ガガイモ

8月に咲いたガガイモ

好きな映画

嫌われ松子の一生 愛のむきだし ロシュフォールの恋人 髪結いの亭主 - 忙しい。

今年出した本

【展示のご案内】

【展示のご案内】 今年は5つの展示に大きく関わりました。 「大昆虫展 in 東京スカイツリー」(監修・出展)東京http://daikontyu-ten.jp/ 「虫展 デザインのお手本」(学術監修・出展)東京http://www.2121designsight.jp/program/insects/ 「特別展 昆虫」…

「とんでもない甲虫」のできるまで

7月11日に幻冬舎から『とんでもない甲虫』が出版される。2011年の『ツノゼミ ありえない虫』、2015年の『きらめく甲虫』の続刊にあたる。じつは2015年に『きらめく甲虫』を出版する前、「ツノゼミに続く珍奇昆虫として、珍奇な甲虫の本を作りたい」と思って…

畑の近況

福岡もようやく梅雨入りし、庭の野菜の育ちがよくなってきた。 キュウリ。いまいち結実率が高くない。 ブルーベリー。小鳥との争奪戦。 サニーレタス。根切り虫と言われるカブラヤガやタマナヤガの幼虫から守るため、輪切りにしたペットボトルで囲っている。…

カブトムシの壁

たいていの身近な生物には世界共通の名前である学名がある。しかし、学名はラテン文字で書かれており、勉強しないと読んだり覚えたりしにくいことから、日本では一般的に和名が使われる。トノサマガエル、シジュウカラ、イリオモテヤマネコはいずれも和名で…

美しいもの

何年か前、ある大学病院の小児科の病棟で移動博物館をさせてもらったことがある。今でも時折思い出すが、これまでの人生で指折りの貴重な経験であった。 他人に対して可愛そうだと決めつけるべきではないし、本人も家族もそう思われることを望んでいないかも…

どうでもよくないこと

生物の学名は私たち分類学者には特別なものである。そして、その発音について、生き物に関わる人たちの間では、「こだわり派」と「自由に読めばいい派」や「どうでもいい派」に分けられる傾向にある。私はもちろん「こだわり派」であり、自由派やどうでも派…

ガガイモ メモ

ガガイモのコレクションは300種近くに達し、かなりの種と属が集まってきた。ガガイモだけ集めてるバカは少ないので、たぶん日本一だろう。 毎日何らかの花が咲いて楽しいが、たまに難物をダメにして悲しい思いをしている。 温室は生育が素晴らしいのだが、難…

虫の本を書くわけ

ここ数年、切れ目なく本を出し続けている。今年も数冊が出る予定だ。 本を書くということには、昔から憧れがあった。それは単純に本というものが好きだからである。今でも形になった自分の本を手に取る瞬間は嬉しい。 最初に出した本は『森と水辺の甲虫誌』…

生き物屋が家を買う

前に書いたように、家を買う動機は動植物を存分に飼育・栽培するためだった。当初は家を建てようと思っていたが、途中から中古住宅か建て売りの可能性も視野に入れ、家探しをした。たくさんの本を読んで勉強し、あちこち見てから契約を決めた。引っ越しから5…

父の死

昨年の10月に父が死んだ。77歳だった。 11年前に奄美大島の南に近接する加計呂麻島に移住し、まさに悠々自適に暮らしていたところ、数年前に大腸癌が見つかった。手術は成功し、その後、こまめに検査を受けていたが、昨年の初めに肺へ転移していたことが発覚…

ホームページを作りました

http://myrmecophiles.com/ 紆余曲折を経て作りました。宮川さんという知人に助けてもらいつつ、手直ししています。要望があったら教えてください。

ガガイモ好きを増やしたい

私が多肉ガガイモ(ガガイモ亜科スタペリア連)を集めているのは、このブログでも何度か書いた通りである。昨年秋に一戸建てに引っ越す後押しをしたのも多肉ガガイモで、温室で上手く育てたいというのが大きかった。 こんな風に夢中になっている多肉ガガイモ…

城計画6 畑作戦

家庭菜園は究極の園芸趣味の一つだと思う。単純に食べる目的でやっている人は多くないはずだ。それなら八百屋でやった方が安くつく。野菜を作るのは基本的に難しい。野菜によっては簡単にできるにはできるけど、立派なものをたくさん作るのには大きな壁があ…

城計画5 サンルーム高温事件と近況

10月末、サンルームが出来上がってすぐに大半の植物を移動した。それまではベランダに並べていたが、気温の低下で弱り始めていたのである。一部のガガイモは15度を切ると極端に弱ってしまう。 サンルームの問題は、時に高温になりすぎてしまうことである。そ…

城計画4 水槽部屋

マンションには大きな水槽があった。しかし、鉄筋だからこそ可能であったわけで、木造では床が抜ける危険性がある。なにしろ120センチ水槽だけで、台を合わせて300kgくらいあるのだから。 そこで、改装の際に、床を補強してもらい、ついでに防水の床タイルを…

城計画3 サンルーム建設

工事を急いだのには訳がある。ベランダのガガイモ(多肉植物)をいち早くサンルームに入れたかったのだ。 サンルームはLIXILやYKKなどの市販品がたくさんあり、そこから選ぶのが安上がりである。また、床面積が10平米を超えると建造物となり、設置にあたって…

城計画2 やるべきこと、やりたいこと

新しい中古家屋はなかなか売りに出ないのだが、売りに出るには、いろんな家庭の事情がある。今回は転勤だった。売主の方も、まさか転勤するとは思わなかったのだろう。築はちょうど10年だったが、非常に大切に管理していたようで、ほとんどピカピカだった。…

城計画1 建築か建売か中古か

天神の町から歩いて帰れるマンションに住んでいた。狭いベランダで多肉植物を育てたり、部屋に大きな水槽を置いたり、畑をやりたいけど無理なので、郊外に農協の貸し農園を借りたりしてたら、住み続けることに窮屈さを感じてきた。もっと広い家で、温室を設…