断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

驚異の標本箱

10月16日に新しい本が出版される。

その名も『驚異の標本箱』 

本当にすごい本を出させていただくことになった。

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吉田攻一郎さんと法師人響さんとの共著で、160ページのA4変形の豪華本である。昆虫標本の写真集で、全編に深度合成を駆使した美しくも鮮明な写真が掲載されている。

かねてより吉田さんには撮影法についていろいろ聞いていて、「いつか深度合成のかっこいい写真集を出しましょう」と話していた。それから時間がたち、若手の法師人さんと知り合い、彼の才能にほれ込んだ。そして、彼なら実現の手助けになるのではないかと思い、声をかけたのが本書の始まりである。

最近ではデジカメ機材の機能向上で、誰もがある程度の写真を撮影できるようになった。その先には被写体の選択や表現の方法が問題になってくる。本書では、その先のその先を目指した。

まず、良い素材。普通種から珍種まで、選りすぐりの撮影して面白いもの、驚くようなものを集めた。標本で変色しやすい種の場合、生きているものの撮影が必要で、標本の収集に苦労したものも多い。もちろん、古い標本には古い標本の美しさがあり、たとえば表紙のプラチナコガネは乾燥によるひび割れを美点とし、その美しさの表現を試みた。

深度合成とはいえ、ボケにもこだわっている。その他、光沢の表現、立体感の演出など、自画自賛にもなるが、この時代の標本写真の表現の一つの到達点ではないかと思っている。

やや高価にも思えるが、昨今の昆虫関係の書籍の品質と価格を考慮すれば、決してそんなとこはない。内容を見ていただければ、カドカワが今の時代に売れ筋の小さい版にせず、大型本を決断した理由もよくわかるはずである。

Amazonのほか、うみねこ博物堂、六本脚、むし社、ジュンク堂などでも、特典付きの予約をしている。よろしくお願いいたします。

 

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この本に関する制作の思い出は数知れない。いずれイベントなどでお話しできればと思っている。