断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

朝から桶を返したような大雨。仕方なく昼までベッドで本を読みながら暇をつぶす。出発前日に高田馬場の古本屋で1冊100円で買ったもの。開口健、藤沢周平新田次郎・・・。そういえば、古本屋のおじさんが、読んだあとに本を返してくれれば50円返すと言っていた。限りなく貸し本屋に近い古本屋だった。東京の風景が少し恋しい。しかし、この旅行が終わってからも、数日でアメリカへ帰らなくてはいけない。

昼すぎに青空が見え始めたので森へ出る。雨がやんだばかりで、下草が濡れているばかりか、ところどころ歩道に水溜りができていた。ヒメサスライアリを探しつつ、ゆっくりと歩く。

腹部をきらびやかに昆虫の頭に模しているハエトリグモがいて、前回は一度見つけて逃がしてしまった。今回は比較的頻繁に見かけるが、非常にすばやく、すぐに逃げてしまう。今日はそれをようやく撮影することができた。

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普通種によく似ているが、どこか違うトゲアリがいる、と思ってよく見てみると、大型のアリグモだった。それにしてもよく似ている。トゲはないが、腹部にその模様まである。

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薄曇で蒸し暑く、条件は最高なのにヒメサスライアリは見つからない。今見つけたいのはAenictus gracilisである。また、RosciszewskiがA. fergusoniと同定している種にも出会えればと思っている。この種はA. laevicepsにそっくりだが、全く違うハネカクシ相を擁し、とくにWeissflogia rhopalogasterという蟻型のハネカクシは垂涎の的である。帰るまでに見つかるだろうか。もちろん、予期せぬ変わったヒメサスライアリとの遭遇も心待ちにしている。

ハリアリPachycondylaの巣の引越しに出会った。いつ始まったのかわからないが、一頭一頭が繭や幼虫、それに羽化したばかりの成虫を運んでいる。引越しが終わるまでの30分ほどを観察し、巣からでてしばらく歩いたあとに繭にしがみつくシミ、アリのあとをしっかり追って歩くクモなどを得た。

道すがら、クワガタアリHarpegnathosの脱翅雌を拾う。小松君が散々探し回って見つけることができなかったものである。ここでは相当珍しいようだ。撮影後に液浸にしてしまったが、今思えば、生かして持ち帰って信州へ送ってあげればよかった。

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雨上がりの蒸し蒸しする夜だからだろうか、今日は虫の飛来が非常に多い。とくに無数のシロアリとアリの雌雄が雲のように電灯の周囲を舞っている。ここへ来て初めての経験である。ヒメサスライアリの雄も5種5頭飛来した。

20時半からヒメサスライアリを求めて林内を歩く。林内にも各種羽アリがよく目に付き、今晩は多くの巣で一斉に飛行したようだ。また、シロアリの巣の下に無数の翅が落ちていた。飛行する前にアリに襲われてしまったのだろう。

今日は久々に夜の林を歩くことができ、それだけで満足だった。また、ヒルに3箇所も咬まれてしまった。