チェンマイにて
昨晩、チェンマイに到着した。ホテルはGreen Tiger Hotelというところで、スイス人のご主人とタイ人の奥さんの感じの良いところ。
今日は朝からDoi Inthanonに行って来た。同行の方がツノセンチコガネを見たいというので、昨年に続き、2度目の訪問。天気は悪かったが、地面にブツを置くと、次々に飛来して、目を楽しませてくれた。
夜はチェンマイ料理のHuen Muan Jaiというレストランに行き、地元の料理を堪能した。タケノコの肉詰めとか、カレー麺とか、とってもおいしゅうござった。
http://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g293917-d3492119-Reviews-Huen_Muan_Jai-Chiang_Mai.html
明日からDoi Suthepでの調査が始まる。
解放
ようやく初校が手を離れた。帰国後に2校を見ておしまい。本当に疲れた・・・。
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忙しいといいつつ、帰り際に今回のタイで採集したヒゲブトオサムシを展足した。このなかまはアルコールに長く漬けると翅が開いてしまうので、できるだけ早く展足しないといけないからである。
左手前は小松君がオオズアリの巣から採ってくれたPaussus属の未記載種。以前にFITで採れた1頭があったのみだったので、追加が採れたうえに、寄主がわかって嬉しい。アリは首都大の江口さんに早速送付した。
右手前はEuplatyrhopalus tadauchiiで、標高350mのところで灯火に飛来したもの。その上の2頭はEuplatyrhopalus vexilliferで、12キロ離れた標高900mの地点でFITに入った。この2種が狭い範囲で微妙に住み分けていることがわかったのは嬉しい。また、私が記載したtadauchiiはvexilliferの地理変異である可能性を危惧していたのだが、ごく近くに生息していて、形態的にも明瞭であり、はっきりと別種であることがわかったのも収穫。
パパデン
バンコクのパパデンという緑地に行った時の様子。
渋い顔をした奇人。
船着き場にいたナマズ。
伊坂幸太郎、キター!!
私の好きな作家、伊坂幸太郎が「子供へ贈る本」として「ツノゼミ ありえない虫」を選んでくださった。とてもうれしい。
http://honto.jp/cp/hybrid/2014/okuribon?partnerid=okuribon
ちなみに伊坂幸太郎は、さわやかすぎるとは思っているが、全部読んでいる。「アヒルと鴨のコインロッカー」、「フィッシュストーリー」など、忘れ得ぬ傑作が結構ある。
できる女
帰国直後に本の初校が届いて、その訂正に忙しい。なぜって、今週末から再びタイに行くからである。でも疲労困憊中。
事務のお姉さんに「出張報告書を出してください」と3回言われたので、今日書こうと思ったら、また「もうブログ見て提出しました」と言われてしまった。申しわけない。でも、優秀すぎて頭が下がる。しかも美人。とにかくごめんなさい。
ちなみに「ツノゼミとヒゲブトオサムシなどを採集した」と書いてくださったようだ。
裏山の奇人 野にたゆたう博物学
相棒の小松君が本を出すことになった。私の「アリの巣をめぐる冒険」と同じ「フィールドの生物学」。これは話題必至。だいたい、こんな題名があっていいのだろうか。出たらまた報告します。
【書 名】フィールドの生物学14 裏山の奇人 野にたゆたう博物学
【著 者】小松 貴(九州大学熱帯農学研究センター)
【体 裁】B6判 288頁 並製
【定 価】2160円(税込)
【著者割引】1728円(税込)
・尚、送料は400円 (5冊以上は送料小会負担です)
【発 行】東海大学出版部 http://www.press.tokai.ac.jp
【発売日】2013年7月30日・発送は7月30日以降になります
【ISBN】ISBN978-4-486-01994-7
【内 容・目次】
生き物に魅せられた怪しい男が、
はじめに
第1章 奇人大地に立つ/幼年期/義務教育課程以後
第2章 あの裏山で待っている/小松友人帳/アリヅカコオロギの謎
第3章 ジャングルクルセイダーズ/東南アジアを征服せよ/
第4章 裏山への回帰/ポスドク迷走/進撃の奇人/神秘の欠片を集める旅
第5章 極東より深愛を込めて/かならずペルーに勝ちに征く/
あとがき
引用文献
トマト近況
今朝はあまりの疲労に布団から立ち上がることができなかった。タイにいたときには元気に過ごしていたのに、不思議なものだ。
不在中、研究員の瀬戸さんに水やりをお願いしていたおかげで、久しぶりのトマトは元気だった。大学について、まずは熟しているのをお腹一杯に食べた。気温が低く雨が多かったからか、まだ甘味が少なく、梅雨明けからおいしくなりそうだ。
とても嬉しかった虫・とりあえず撮影した虫
ストロボを少し改良して、なかなか満足のいく写真が撮れるようになったので、少しだけ公開。最近、好蟻性軍団(小松・島田・丸山)は全員100ミリマクロに切り替えた。
これ。↓ 高いし、重いけどすごくいい。手ぶれ補正がしっかりしているので、青空や背景を写したいとき、1/60程度でも、片手で撮影ができる。
Canon 単焦点マクロレンズ EF100mm F2.8L マクロ IS USM フルサイズ対応
Euplatyrhopalus tadauchii 猛烈にかっこいいヒゲブトオサムシ。
Ichthyurus sp. コバネジョウカイのなかま。
Kalidasa nigromaculata フチドリヒメハゴロモ。
Systella rafflesi コノハバッタ。
Nilautama typica トゲアトキリツノゼミの一種。
Amblyomma sp. 巨大なキララマダニ。
帰国
今朝、タイから帰国した。滞在中の8割は雨という最悪な状況で、成果は目標の3割程度。クワガタなどの大型甲虫は完全に季節が終わっていた。その代わり、ホタルがたくさんいてきれいだったり、真新しい好蟻性昆虫もいくつか見つかったりして、良いところもあった。
同行の山根さんのほうは、大成果とのことだった。ここはタイで一番の「すごい」採集地だと思っているが、アリの多様性はそれを裏付けるものだったようだ。本当に底知れない場所なので、来年以降も毎年行くことにした。
ちなみに一番の目標だったヒメサスライアリのハネカクシはかすりもしなかった。4人のアリ屋が探しても、そもそもヒメサスライアリ自体が滅多に見つからない。このゲンカチャン国立公園では毎回こんな感じだし、マレー半島のエンダウロンピン国立公園でも同じような結果が続いている。かねてよりヒメサスライアリは、真に原生的な環境の良い場所(ゾウとトラがいることが基準)ではコロニー密度が低いと思っているが、そのことを再度確信する結果となった。
今回は修行の前後にタイ在住の虫屋さんたちに大変お世話になった。ありがとうございました。
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実は、今週末から再びタイ(こんどは北部)に行くことに・・・。
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最終日の前日にタイ在住の虫屋さんたち7名と山奧へ。巨大なカメ(ビルマムツアシガメ)を見つけて、大感激した。25キログラムくらいあって、重かった。野生のリクガメは一番見つけるのが難しい野生動物の一つだと思う。そもそも生息地自体が少ないし、どこでも絶滅の危機に瀕している。(マメコさん撮影)