視点・論点
先月にNHKの「視点・論点」という番組からお声がかかった。
ちょっと躊躇したけど、何事も挑戦ということで、出演することにした。
収録は今月の6日で、放送は今日だった。
一言で言うと、ものすごく無茶な番組。素人に一発撮りで9分もしゃべらせる。
収録の数日前に2800字程度の原稿と関連画像を送り、それをNHKの論説委員室で赤入れ、それが戻ってきて、こちらで確認。
当日はA4に縦書きの大きな字の原稿が用意されていて、少し練習。
原稿を手元に置くと、天井のカメラから写しだされた原稿が、出演者を写すカメラの位置にある画面に映る。その画面を見ながら、自分で原稿をめくりつつ、読んでいく。そうすると自然とカメラ目線になるしくみ。
番組の方針として編集は一切しないそうで、挿入される画像も、収録時に一緒に入れ込む。つっかえても良いそうだ(素人がつっかえないのは無理)。というわけで、数回つっかえて、1回撮りなおして、それで最後に放送用のVTR(編集しないので、収録が終わったらもうできている)を確認し、終了だった。
なかなか面白い経験ができた。
「アリの社会に驚きあり」という題
潮干狩り
疲れきってしまったので、今日はお休みとした。そろそろ畑の世話をしようと買い出しに行くついでに、今年最初の潮干狩りに出かけた。今日は天気予報が午後から雨だったのだが、なんとかもってくれた。
今年は個体数は少ないが、粒が大きい。
甲虫の撮影
この夏に甲虫の写真集を出すことになっている。
こないだの日曜から水曜にかけ、多摩美術大学の学生できわめて展足の上手い福井君に来ていただいて、その写真集の準備のため、ひらすらに展足していただいた。
そして木曜から撮影開始。農学部の星野君にひらすら標本の細かい清掃をしていただき、私はその横で撮影する。
比較的大型の甲虫が多いので、いつもとは撮影法を変えている。完全にディフューザーで囲ってしまうと艶消し状の虫になってしまうので、適度に直接ストロボの光が当たるようにするのが重要。分類群特有の体表構造の違いに応じて、分類群ごとに異なる形と大きさのディフューザーを考えて作り、なおかつストロボの角度を調整して最適なものを試行錯誤するので、最初に方法を決めるのに時間がかかる。決めてしまえば早い。これまでになく良い写真ができつつある。
圧英
弘岡君
先週末、和歌山県庁に就職した弘岡君がひさびさに来てくれた。目的は修士論文のハラブトハナアブの分類の後片付け。99%完成に近づいた。
真剣な目つきの弘岡君。
金尾君、元気で
明日の朝、金尾君が京都へ旅立つ。金尾君は最初の大学院生で、修士1年生から5年間指導にあたらせてもらった。
私の無理な理想に期待以上に応えて、立派な成果を残してくれた。とにかくやるべきことをきちんとやる人で、今後もしっかり研究を続けてくれるだろう。素晴らしくいい奴だし、こういう学生に出会えて本当に幸運だった。教員になってよかったとしみじみ思った。
金尾君の専門は好白蟻性のハネカクシで、京都大学でポスドクとして同じ研究を続ける予定である。こちらでは分類学と分子系統中心だったので、京都では生態のほうに本格的に着手することになっている。分類学に始まり、総合的な自然史へ、いろいろな分野に枝葉を広げる良い例だと思う。
金尾君に幸あれ。
大学に植えたチューリップが今年も見事に咲いた。
クアラルンプール道路事情
昨晩の飛行機に乗って、無事に帰国した。あとはひたすらやるべきことを片付ける。
今回はレンタカーであちこちまわった。クアラルンプールはニューヨークと並んで高速道路が複雑で難しい都市だそうで、今回も何度も道に迷い、高速道路を下りては乗りなおすということを繰り返した。そうこうしているうちに、高速道路に乗ってからは、とりあえずあてずっぽうで走り、間違えたら乗りなおすということにした。高速道路が複雑なだけならまだしも、まともな地図は存在しないし、標識もいい加減で不親切で(繁茂した樹木で視えないものさえある)、まじめに乗っているとイライラしてしまうので、自分のなかで「間違えても気にしない」と見切りをつけたのである。
おかげでずいぶん慣れたが、今後クアラルンプールで運転することがあったら、ぜひカーナビが欲しいところだと思った。
マレーシア10日目
3月19日。今日はお魚釣りに出かけた。
その前に、昨晩、スーツケースのカギが見当たらないことに気付いた。思い返すと、キャメロンハイランドの森の中に落とした可能性が高い。どうしようもないので、鍬でカギをこじ開けたら、案外簡単に開いた。そういうわけで、魚釣りの前に町に出かけてスーツケースを購入した。
3軒の店を見たが、こちらでは会合部がチャック式のものが大半で、日本でふつうに売られているようなカチっと硬いロックをかけるものは滅多にない。ちょっと小さいものの、ようやく手ごろな金額のロック式のものを見つけ、購入した。小旅行用に少し小さいものが欲しいと思っていたので、これでよしとする。
それからGombakから北西へ100キロほどの場所へ向かう。そこにはすばらしい川があった。
学生はトンボや水生昆虫をつかまえていた。
小松君はタニノボリのなかま(広義のドジョウ)を採集してくれた。
魚は3種釣れた。なかでも下のLuciosoma setigerumというコイ科の種は、大きくて非常に俊敏で、美しい魚だった。
夕飯は近くの町で食べて、夜もひとしきり川で遊んで、帰った。
マレーシア9日目
3月18日。キャメロンハイランドで疲れ過ぎて、昼過ぎまでボーっと過ごす。
夜にKurt Orionさんという写真家が来て、一緒に夜の森を歩く。トカゲを見つけるのが上手で、いろいろ撮影することができた。
すばらしい写真を撮影されるが、やはりディフューザーに秘密があった。まねしようと思う。ただ、光沢のある生物には、ディフューザーが効きすぎるのもよくないので、悩みどころである。
以下、私がいつものように撮影したもの・・・。
あと、虫いろいろ
マレーシア7・8日目
デニスさんと松村さんと一泊でキャメロンハイランドに出かけた。
昨日で島田さんが帰る日だったので、朝の6時半にGombakを出て、途中の町で島田さんにタクシーに乗り換えてもらい、われわれ3人でキャメロンハイランドに向かった。
今回の目的はBringchan山で見つかったジュズヒゲムシの採集で、ついでに私の探し求めているツノゼミも探してやろうという計画。デニスさんは虫の撮影。
昼ごろにタナラタの町に着き、いつものTwin Pinesという安宿にチェックイン。安宿とはいっても、今では1泊60リンギもする。15年前には15リンギ(500円)だった。
それからブリンチャンへ。どこもかしこもものすごい人出で、タナラタからブリンチャンまでの4キロの道のりが渋滞で、1時間もかかってしまった。そこから山に入り、頂上付近で採集した。首尾よく目的のジュズヒゲムシが見つかり、街へ下りる。
いつものMay Flowerという中華料理店で食事。デニスさんが美味しいものに詳しく、いろいろと初めて食べるものを注文してくれた。
暗くなってから、Jasar山に登る。夕食時にビールを飲んでしまったので、少々つらかった。目的は頂上付近にいるマンマルコガネだったのだが、森が乾いていて見つかる雰囲気ではなかった。3月はこちらとしてはまだ早いようだ。松村さんは要領よくジュズヒゲムシを採集していた。
翌日の今日は朝からトラの出る森に行く。レンタカーの底を擦りながら悪路を走り、昼前に到着。散々歩きまわるものの、目的のツノゼミは見つからなかった。
それから原住民の村で虫を見て、早めの夕食をとって帰った。野生のカエルの生姜炒めは絶品だった。これまでよく食べていたウシガエルとは全然違う。
道に迷いつつ、20時過ぎにUlu Gombakに帰着した。
以下、キャメロンハイランドで撮影した虫。
マレーシア7日目
3月15日。もう1週間か。早い。
今日は朝食後に小松君、島田さんとHutan Lipur Lentangに行き、先日見つけたバクダンオオアリの撮影と実験を行う。本当に自発的に爆発するかという疑問があったが、かなりの危機的な状況になると、稀に爆発することがわかった。ただしかなり危機的な状況において、腹部を刺激すると、簡単に爆発する。きわめて大人しいアリだが、樹上性の他のアリからしつこく攻撃されれば、きっと威力のある反撃になるだろう。
サスライアリは動きが悪く、不調。次回に持ち越しになりそうだ。