断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日も・・・

朝から東小金井にアメイロケアリの採集にでかけた。秋野さんの生物検定の材料である。昨年羽アリを採集した場所で、東小金井駅から20分ほど歩いたところにある。この仲間は湿った林を好むので、都市化の進みすぎた環境には見られず、都心部では稀である。しかも地中性のアリなので、そう簡単には見つからない。

目的地の公園に着くと、ここ数日の晴天で地面が非常に乾いていて焦った。湿った環境を好むので、地中深くかどこかへ移動している可能性がある。案の定、昨年羽アリを見つけたところを少し掘っても見つからない。そうこうしているうちに、小学生の集団が歩いてきた。公園のとなりは小学校である。挙動不審な人と間違われては困るので、林を散策して時間をつぶす。散策してわかったことだが、意外によい環境で、カブトムシの死骸はよく落ちているし、都心では少ない(広い皇居でも1巣だけ)クロクサアリも巣も見つかった。小学生の集団が去り、また元の場所へ戻ったが、どうも見つかる気がしない。しかし、諦めて帰るのももったいないので、思い切ってかなり深く掘ってみた。すると、ぞろぞろとアメイロケアリが這い出してくるではないか。晴れて暑くなってきたので、自販機でジュースを買い、アリを入れたケースを冷やしながら駅へと急いだ。

明日はつくばの秋野さんへ材料を届けるので、帰ってからはガスクロマトグラフィー用の試料作製を行った。大顎腺内容物の抽出で、アリの頭を切り、ヘキサンという揮発性物質に1分間着け、その液を分析に使うというものである。簡単そうだが、別の物質の混入を防ぐのに非常に気を遣う。また、道具類をヘキサンで洗いながら実験するので、時間がかかるし結構疲れる。

そのあと、シークエンサーをセットし、飼育しているアリのケースの入れ替えと清掃を行った。すばやいアリが多いので、二酸化炭素で麻酔しながら作業を行った。嬉しいことに、先日採集してきたトビイロケアリのコロニーにアメイロケアリの女王が2頭混じっているのを見つけた。アメイロケアリはトビイロケアリに一時的社会寄生を行うアリである。結婚飛行で交尾を終えたメスは、羽根を落とし、寄主であるトビイロケアリの巣を探す。巣を見つけると、トビイロケアリの働きアリを1頭殺し、それを口にくわえて巣に進入するという、とんでもないことをするアリである。今回見つけたアリで何か実験ができるかもしれない。