断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

ボルネオ島で発見されたヒョウは「新種」=WWF」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070315-00000318-reu-int

噴飯もののニュースである。これを読んで、また日本の記者が誤訳あるいは曲解の挙句におかしなことを書いているのかと思ったら、本家WWFの記事の論調に従っているまでだった。
http://www.panda.org/news_facts/newsroom/index.cfm?uNewsID=95660

一番重要な誤りは「新種」である。1834年に新種Felis diardiとして記載されているわけだから、逆立ちしてもすでに新種ではない。diardiという名は、ウンピョウの種名に使われているnebulosaの新参同物異名であり、亜種名として生き残っていたそうだ。また、1834年からずっと存在が知られていたわけだから、「発見」という記述も誤りである。細かいことだが、「ヒョウ」という表現も誤解を生む。たしかに和名には「ヒョウ」がつくし、英名のclouded leopardにも「leopard」がつく。しかし、ウンピョウとヒョウとは別属のものであって、本当のヒョウはトラやライオンと同属である。だから、タヌキをさして「このキツネは」と話しを進めるのと同じことである。題を見てヒョウ属Pantheraの新種が見つかったと思うのが普通だろう。

結局、今回の記事の内容は、ウンピョウのボルネオとスマトラの個体群を調べたら、他の分布域の個体群とは種として区別しうるほどの遺伝的な違いがあった。亜種から種に昇格することとなり、その種名にはNeofelis diardi (Jardine, 1834)という学名をあてることになる、という程度のものである。

記事の意図は自然保護のプロパガンダだろうが、大げさな嘘で読者を刺激するのはいただけない。いくらWWFでも、これくらいの知識はあるだろう。たしかに生息地のスマトラやボルネオの開発は酷いものかもしれないが。



今日はSt. Patrick's dayといって、アイルランド移民のお祭りである。この日はシカゴ川を緑に染めるというので、見に行ってみた。たしかに染まっていた。染料の成分はヒミツとのこと。緑はアイルランドの象徴で、とくにクローバーが重要なキャラクターとして、あちこちの飾りに使われる。また、クローバー模様の帽子やネックレスなど、クローバーグッズがあちこちに売られ、多くの人が身に着けていた。

気になったのは、キャラクターのクローバーが全てカタバミであること。「葉」の一つ一つがハート型をしている。日本でもクローバーと称してカタバミの鉢植えが売られていることがあるが、こちらでは混同を通り越して、カタバミが本物になっている。細かいことですが。

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