断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

残暑らしい残暑も来ず、すっかり秋らしくなってしまっている。通勤途中の道すがら、クマゼミの死体が累々と地面に落ちる様子を見るのはさみしい。しかし夜になると窓の外にはコオロギ類やキリギリス類の大合唱で、それは賑やかでよい。東京だとアオマツムシばかりでかなわないが、こちらは他の虫の勢力が強いので、まだ心地よい。
昨日、JEOLの卓上電子顕微鏡のデモに来てくれた。A3プリンタを2台重ねたほどの大きさで、重量は70kg。普通の机にも十分置ける。非蒸着でいくつか虫を撮影させてもらったが、解像度も十分であった。問題はチルト(回転台)がついていないのと、解像度や電圧、気圧が2−3段階しなかく、微調整ができない点だった。大きさは良いが、もう少し機能を増やしてほしい。ちなみに価格は500万円程度とのこと。
今日は昨日ちゃっかり撮らせてもらった写真を持って森本先生を訪れる。これで論文を図はほぼそろった。森本先生は毎日解剖とスケッチを続けられているが、先々月から交尾器用のミクロバイアルが切れてお困りの様子だった。どうされているのか尋ねたところ、熱帯魚のエアポンプのチューブを切って片側を溶かして留め、ストローを切って蓋にされていた。何があっても作業を中断しないご姿勢に頭の下がる思いがした。