断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

ホテルで朝食。今回は三井ガーデンホテルに泊まったのだが、非常に快適だった。それから小松君を毛虫君宅へ迎えに行く。今日に限って雲ひとつない晴天。
小松君は11時半の便なので、今日は時間がない。空港近くの千歳湖畔に草地があって、クロヤマアリとアカヤマアリがいたのを思い出したので、Elasmosomaというアリ寄生のコマユバチを探しに行くことにした。
車が込んでいて、10時過ぎに千歳湖に到着。久々に来たのだが、遊歩道に踏み跡がなく、草地も潅木林になり、すっかり遷移が進んでいた。悲しいことにヤマアリ類の好む環境がほとんどない。仕方なく、2人で道端に少しあったクロヤマアリの巣を何気なく眺めていると、なんだか細かいハエのようなものがアリにまとわりついている。そして小松君が「びゃあ゛ぁ゛゛ぁ」と奇声を発した。「Elasmosomaですよ!!」
11時に小松君を空港で下ろし、再び千歳湖へ戻り、Elasmosomaの追加個体をいくつか採集した。
13時半の便で帰路につく。
18時過ぎに大学に到着し、今回の標本を検鏡した。
今回、8年ぶりに北海道でまともに採集したことになるが、どこも環境が変わっており、当時の感覚が通用しなかったのには毎度驚かされた。ただ、変化と言っても、悪化していると思うようなところはなかった。北海道の虫環境はやはりすばらしい。
それと、どこにもマイマイガの幼虫が多いのには閉口した。カレハガと並んで憎むべき姿をした毛虫である。一名をブランコケムシといい、我が物顔で木からぶら下がる恐ろしい姿を想起させる。場所によっては幹にびっしりくっついており、湖畔の芦原でアシを齧っている個体がいたのには呆れた。子供の頃に階段の手すりにこの毛虫がいて、気づかずに手で潰してしまったことがあり、未だ癒えない心の傷となっている。