断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

8時に起き、ライトトラップの甲虫を拾う。ヒメドロムシが9割、ゲンゴロウが5分、残りがヒラタドロムシやガムシ、ミズギワゴミムシ、チビゴミムシといったところ。
気づくと、昨日買ってきてもらったバナナがなかった。昨晩、ジャコウネコが持って行ってしまったのだろう。
小松君がニヤニヤしていると思ったら、朝、森に仕掛けた自分の排泄物(大)を、大きなリクガメが美味しそうに涙を流しながら食べていたという。写真を見せてもらったが、たしかに大きなリクガメだった。これまでいろいろな国立公園に行ったが、リクガメの姿を確認できたのは初めてだった。どこでも少ない動物である。
どうも体調が悪く、今日は夕方まで休むことにした。夕方までにテントを移動しなければならないというので、本を読みつつ、少しずつ荷物を移動したり、テントを動かしたりした。
夕飯と一緒にロンゴンとバナナが届いた。今日はテントに仕舞わなければ。
森から帰ってきた小松君が、Pseudacerusという珍奇なアリヅカムシをオオズアリの巣から出していた。すばらしい。野村さんが「もう帰ってもいい」と狂喜していた。
18時過ぎに小松君とライトトラップを仕掛けに16キロポイントの森に出かけた。今日は2キロほど歩いてFITの地点に仕掛けることにした。今日もすばらしいお月見。往復4キロが無駄になることは目に見えているが、何もしないよりはマシだろう。もちろん、ヒメサスライアリを探すという目的もある。
道すがら倒木やキノコを見るが、何も虫がついていない。うすうす気づいていたが、もう虫の時期が完全に終わっているようだ。昨年のKhao Luangもあまり採れなかったが、それにも増して虫がいない。FITを見ても、やはり虫が少ない。
日本でいう晩秋で、キノコの虫(日本では秋遅くまで活動)の終わった季節に近いだろう。この地域ではこれからほとんど雨がなくなり、急激に乾季に入る。それに向けて休眠体制に入っているものもあるかもしれない。
これといった収穫もなく、21時に宿泊所へ戻る。見とれるほどの煌々とした月で、月の温もりを間近に感じるようだった。帰り道には木々の間からこぼれる月明かりでヘッドライトが要らないほどで、小松君は透明な夜空と表現していた。