断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

以前に少しふれたが、ドイツの院生と共同で研究を始めている。その彼は最初にアメリカの某大家に標本を送ったが、なかなか返事がないので私にも標本を送った。私が同定結果を連絡したころに、某大家からも結果が届いたそうだが、聞いたその結果が私と全く違っていた。なんと某大家はご自分の記載した種を誤同定している。私はそのことをドイツの彼に教えたのだが、某大家はその結果を論文にすると言っているそうだ。成り行き上、仕方ない。それから半年、某大家はやたらと仕事が早いし、個人的な雑誌を持っているので、論文となって彼らと共著で出版された。その論文は想像以上にひどいもので、誤同定の結果、やり場に困った別の種を見当違いの属に移していたりして、私は「残念ながらcatastrophicだ」と彼らに伝えた。もちろん、大家は大家なので、信用してしまったのはしょうがない。ところが、彼らの中でもどちらを信用してよいか葛藤があったようで、私の結果をいちいち聞き直したり、彼らが勝手に同定した内容で意見を求めてきたりする。そうなるとこちらも勝手にしろとしか言いようがなかったが、今日新しい標本が彼らから届き、この件は完全に託されたとわかった。先方も難しい思いをしたのだろう。
夕方から第2回目の博物館談話会で、松隈先生が貝のお話しをした。資料部教員の集まりが悪いのが悩みだが、とりあえずは続けて様子を見たいと思っている。
談話会が終わって研究室へ戻ると、先週の大野さんと知らない方が来ていた。その方はダニーコさんといい、タヒチ出身で日本に学び、現在は宮古島に住むという。まずは春吉の水炊き店へ案内することにした。日本の文化に大変通じていて、日本人以上に日本人らしい感じの良い方で、終始笑いが絶えなかった。生肉がお好きなようで、いきなりかじりついたのには驚かされた。ところで、入店後、わずか1時間で「もうお時間です」といわれてしまった。騒ぎすぎて追い出されたのだとしたら申し訳なかった。次に中洲の水餃子の店に行き、焼酎をがぶがぶ飲む。大野さんもダニーコさんもお強いので、ついついつられて飲みすぎてしまった。来年には沖縄か宮古島で再会することを約束してお別れした。