断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

来客

先週、自宅を引っ越したのだが、その際にホコリを吸って喉を痛めてしまい、1週間近く風邪気味だった。しかも荷物の受け取りで午前中に家にいないとならない日が続き、あまり仕事が進まなかった。

今週は飲み会が多く、月曜は東大の伊藤元巳先生を囲む会、火曜は九大職員、水曜(昨日)は出版社の方と飲んだ。

行きつけのお店の500円刺し盛り。

f:id:dantyutei:20150129193015j:plain

その隣のお店のお通し。

f:id:dantyutei:20150129193022j:plain

昨日は「越後屋」でモツ鍋を食べ、2件目に天神の屋台で天ぷらを食べた。

f:id:dantyutei:20150129193026j:plain

NHKのデレクターの方からリラックマのチーズケーキを送っていただいた。結構大きい。

f:id:dantyutei:20150129193035j:plain

また、昨日は「昆虫はすごい」10万部突破のお祝いに、(光文社ではない)出版社の方にお花をいただいた。明るい色。

f:id:dantyutei:20150129193742j:plain

書評と増刷

朝日新聞に「昆虫はすごい」の書評が掲載された。取り上げていただいたこと自体はとてもありがたいのだが、本の内容にほとんど触れていないもので、なんだか複雑な気持ちがした。


(売れてる本)『昆虫はすごい』 丸山宗利〈著〉:朝日新聞デジタル

----

しかしこの書評の効果は絶大だった。今週になって急に注文が殺到し、2万部の増刷が決まったそうだ。書評があまりに内容に関係ないため、どんな本だろうかと興味をもってくださった人がいたのかもしれない。これでめでたく大台の10万部を突破し、累計11万3千部となった。 

カーネット

カーネットトラップのバラバラにできる枠を作った。枠の素材は高橋敬一さんと同じもので、接続部を取り外し可能な金具にした。網の素材については、宮田さんご夫妻と同じテトロンゴースというものを注文した。アリヅカムシの微小種も逃さない目の細かいものである。

f:id:dantyutei:20150125160658j:plain

f:id:dantyutei:20150125160640j:plain

段差作戦

最近は高田さんに標本を作ってもらっている。微小種の標本を作っていると、机の上に置いた標本に顔を近づけることを繰り返すのがとても疲れる。頭の良い高田さんは手前に箱を置いて、そこに虫を並べ、あまりかがむことなく虫に顔を近づけ、標本を作っている。

f:id:dantyutei:20150122173145j:plain

カーネット・イカ図鑑

2月にタイ、3月にマレーシアと、採集旅行の予定が詰まって来た。4月以降も毎月行くことになるだろう。

さて、3月のマレーシアでカーネットトラップ(車の屋根に巨大な網をつけ、車を走らせて飛翔昆虫を採集する方法)をやろうと思っている。日本の第一人者である高橋さんに現物をいただいたのだが、大きすぎてマレーシアに持って行けないことがわかった。そこで、海外調査用の折りたためる小型版を作ろうと思い、茶坊主他学生さんたちに計測してもらった。

熱帯では誰もやったことのない方法なので、どんなすごいものが採れるか想像に難くない。

f:id:dantyutei:20150120022958j:plain

東海大学出版部より「新編 世界イカ類図鑑」が届く。表紙からしてかっこいい。2005年の「世界イカ類図鑑」がこのたび新編として生まれ変わった。世界中のイカが網羅された前代未聞の本である。世界のすごい形のイカが目白押し。

f:id:dantyutei:20150120023005j:plain

梅棹忠夫・山と探検文学賞

「梅棹忠夫・山と探検文学賞」の候補作品に小松君の「裏山の奇人」が出ている!

http://umesao-tadao.org/4th.html

そもそも「売れるのか」と編集の稲さんが心配していた本書だが、結局、「フィールドの生物学」のなかで一番の売れ行きで、しかも高い評価を得ている。私も意外だった。

 

ゲッチョ先生の本2つ

 ゲッチョ先生(盛口満さん)の「描き方」の本が立て続けに出たので紹介したい。といっても、1つは2年前だが。

学部生のころからゲッチョ先生の本は穴があくほど読んできた。ゲッチョ先生の本によって、生き物に対する興味の幅が広がり、昆虫以外の標本に対する意識がかなり変わった。ゲッチョ先生の本を読んでいていつも思うのは、挿絵の絵の活き活きとした様子である。文章もすばらしいが、挿絵がそれを絶妙に引き立てている。

そんなゲッチョ先生が書いた「描き方」の本が面白く無いはずはない。さまざまな出来事ともに、絵を紹介しつつ、非常に具体的に描き方について指南している。「ウソの付きかたを身につける」のが大切だそうで、これは他人に何かを伝えるための絵を描くには、たしかに核心ともいうべきところだと感じた。

私も分類の論文で絵を描くが、それも見たとおりに描いてはいけない。ゲッチョ先生の絵の魅力の一つに「自然な線」があると思うが、それは分類の絵描きにも大切な感覚であり技術だと思う。

 

 

ルバング島

朝から会議。夕方から金尾君の博士論文の相談会。

ーーーー

フィリピンの小さな島だが、おそらく日本で屈指の有名な島、ルバング島のカタゾウムシ。珍しい産地。

ルバング島を地図で見ると、ルソン島にある首都マニラのすぐ近くにあることがわかる。そんなところで戦後長らく「別の戦争」は続いていたんだなと思った。カタゾウムシを集めていなければ、フィリピンの細かい島の配置を知ることはなかっただろう。

f:id:dantyutei:20150113205717j:plain

近況

いつの間にか時間が経ってしまった。最近は金尾君の博士論文の最終確認と実験の追い込みが続いている。なかなか記載や同定のほうに戻れない。

今日、合間を縫って、初めてtopoisomerase Iというのをやってみたが、難航しそうな予感....

f:id:dantyutei:20150112212033j:plain

また、試しに形態進化に関する別の論文の系統樹も作ってみた。まだまだ領域を足していく予定だが、私の作った属が既知の近縁属とかなり遠いということがわかって安心したり、ほかにもいろいろなことがわかった。

f:id:dantyutei:20150112213314j:plain

夕飯は熊本の天草のお土産の〆サバ蒲鉾。とてもおいしい。

f:id:dantyutei:20150112225351j:plain

東南アジア大陸部の魚類

最近暇さえあれば見ているサイトがある。それは「Fishes of Mainland Southeast Asia」というデータベースサイトである。

データベースとしての重要性は言わずもがな、これが単純に楽しい。非常に直感的に見ることができ、ページ同士のつながり、検索も非常によくできている。魚の写真と同時に地図を見ながら、「こんな環境にこの魚がいるのか」とうなずきながら楽しんでいる。

欲を言えば、現段階では河川性・流水性種が大半なので、止水域の魚も充実させていただければ嬉しい(それでも現在700種以上と十分すごいのだが)。


Fishes of Mainland Southeast Asia