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昨日のアリの系統の補足。亜科間の解像度が低いが、これはミトコン情報による分子系統の限界のようにも思える。アリというグループが、生まれてすぐに一斉に放散したのであれば、基部の分岐が浅くなってしまう、つまり解像度が低くなってしまうことはやむをえない。
つくばでフシボソクサアリが飛んだとのこと。これはめちゃくちゃ早い。私の知る他の巣では、8月から9月下旬である。年変動だろうか、それとも巣による違いだろうか。それに関して、アリの飛翔時期は雄アリの解剖によって、かなり正確に把握できること(少なくともクサアリでは)をクサアリ研究グループの皆さんにお知らせすることをすっかり失念していた。
羽化から飛翔の前までは、testisに精子がある。しかし、飛翔直前、つまり交尾直前になると、vas deferensというtestisの付け根の管部分に精子が下りてきて、硬い塊となるのである。これはごく簡単にわかる。クサアリでは、飛行のごく直前(2-3日前以内)にvas deferensに精子が降りてくることが、自分の見た巣(n=3)ではわかっている。もちろん、その後の天候の変化によって、成熟状態のまま巣に留まることはあるだろう。しかし、少なくとも巣の飛翔時期の傾向だけは正確に把握できるはずだ。さて他のアリではどうだろうか。気になるところである。