断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

8時半起床。9時半にロッジを出て朝食。ナマズを辛く炒めたものと豚肉を辛く炒めたものをかけたごはん。まずは22日にKM33に仕掛けたFITを回収し、別の場所に移動することにする。FITの成果は可もなく不可もなくといったところで、それほど大したものではないが、スジホソハナムグリの仲間Coenochilus sp.や大型で平たいヒゲブトハネカクシPedinopleurus sp.が嬉しいものだった。どちらもOdontotermesの塚に住む居候であり、塚の多いこの環境を象徴している。ヒゲブトオサムシも5頭ほど落ちていた。帰り際、2個の自前トラップを仕掛ける。

昼近くなり、食堂へ向かう。途中、Elephant Salt Licking Pointというゾウが塩を舐めに来る場所で車を止めてもらう。道の際の糞の横には大きな穴とこんもりした土の山があり、明らかにナンバンダイコクコガネの一種Heliocopris sp.のものと思われた。古いゾウの糞にはシロアリが坑道を作っており、そこにシロアリを食べる大型のアリノスハネカクシ族の仲間Glossacanthta sp.がたくさんいた。

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昼食は牛肉とビーフンのスープにソムタム。

次に回収したFITを別の場所へ移動することにする。24日に訪れたPha Kluai Maiという滝に通じる遊歩道で、斜面の林に30個かけることにした。しかしかける場所に限界があり、ここは15個にとどめた。過湿気味で朽木性のシロアリの多い変った林である。残りの15個はPha Kluai Maiへ向かう途中に見かけた道路際の林に仕掛けた。ここは一見して素晴らしい林。暗い原生林ではなく、下草の多い、いかにも虫の多そうな場所だった。

このところ雨が多く、ヒルが異常に多い。日本では清澄山や四万温泉で大量のヒルに遭遇したことがあるが、それにも増してすごい数で、ふと立ち止まると見渡す限りヒルがこちらへ向かってくるのがわかる。しかし被害はそれほどでもなく、今日までに10箇所ほどやられたくらいである。長靴に防虫クリームを塗るとかなり効果的であることがわかり、それが効いているようだ。

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滝の周辺で5時半まで採集するが、さしたる成果はない。小松君が今朝、「昨日すごすぎたので、今日はダメですよ」と言っていたが、それが当たってしまったようだ。

夕食は豚肉のカレーとティラピアの唐揚げ。それに豚の団子と豆腐のスープ。

夕食後はいつものように食堂の周辺で採集するが、残念ながら面白いものはなかった。道の脇に飛び出ていた太い枯れ枝にひざを打ち付けて激痛にあえいだり、普通に歩いていて振り下ろした手のひらにカエルが飛び乗ってきてびっくりしたり、つまり特筆すべきことは何もなかったのである。1日1新種を目指していたが、今日は完全に敗北だった。もちろんFITでは多くの新種が採れているに違いないが、直接、アリやシロアリの巣から得ることを重視したい。

手のひらに乗ってきたカエルMicrohyla berdmorei(?)。とにかくものすごい跳躍力。

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