断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

明け方に大きな雷鳴で起される。ごく近くに雷が落ちたようで、轟音と地響きに慄く。それから日が昇るまで土砂降りが続いた。ベッドでうとうとしながら9時に起床。洗濯をし、少し標本を整理し、10時半にロッジを出る。片山君は全く雷に気づかなかったそうだ。

朝食はナマズを辛く炒めたものと大根と玉子を甘く炒めたものをかけたごはん。ナマズのおいしさといったらない。黙々と何も言わずに食べている小松君も注文していたので、どうやら気に入ったようだ。

まずはビジターセンターの裏手にかけたFITを回収し、成果の悪いものを移動することにする。昨日倒木に直撃したひざが青あざとなっており、歩くと少し痛む。しかし22歳の片山君が重い荷物をヒョイヒョイと運んでくれるので助かる。30基のうち、10基のみを残し、5基を近くの別の場所、15基を少し離れた場所に設置した。回収中に倒木の太いトゲを長靴で踏み抜いてしまい、足の裏にそのトゲが突き刺さってしまった。こういうは破傷風の原因となるので、急いで長靴と靴下を脱ぎ、傷口を開いて血を出し、アルコールを流し込んだ。

回収品の成果は今ひとつで、目的のヒゲブトオサムシが採れていなかったが残念だった。昨年のほとんど同じ時期に科博の野村さんが採った場所なのだが。センチコガネ類Bolbocerosomaやスジホソコガネの一種Coenochilusがめぼしいもので、好白蟻性のヒゲブトハネカクシが非常に多かったのが印象的だった。

14時過ぎに昼食。牛肉と太麺のスープにソムタム、ソーセージの燻製をいただく。

午後はシロアリの巣で成果のあったMo Sing Toへ。一昨日1頭しか採れなかった菌園擬態の甲虫を狙いに行く。Odontotermesの巣は比較的高密度にあるようで、片山君が掘る担当、私が菌園から虫を探す担当で、18時過ぎまでに3つの塚を調べた。

途中、手のひら大の立派なサソリが地面深くの穴に見つかった。大変力強く、ピンセットで引っ張り出すのに少し苦労した。

幸い、菌園擬態の甲虫は2頭追加することができた。最後に別のシロアリの巣が地下から出てきたので、食堂へ持ち帰る。直径30センチ程度、カートン状のスズメバチの巣のようなものである。

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夕食は18時半。豚肉のチャーハンを食べるが、昼食から間がなかったので、食べきれず。

食堂の明かりの下で巣を崩し、1.5mm程度のHypocyphtini族のハネカクシを複数得た。全くの新種で、属さえ不明である。面白いことに、ピンセットでつまもうとすると、ピョンと跳ねるかのごとく、すばやく飛翔・着地する。跳ねたり走ったりする能力の代わりにシロアリからの攻撃をかわす手段なのだろうか。

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19時過ぎに風が出始め、いまにも雨が降り出しそうになる。20時直前に土砂降りとなり、森へ出ていた小松君と片山君を拾ってロッジへ戻る。22時半に就寝。