断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今年はサスライアリDorylusの専門家であるドイツのショーニンクさんとケニアで調査することができそうだ。日程次第だが、同行していろいろ教えていただきたい。最初は彼の学生さんがサスライアリと共生するハネカクシの生態を始めるというので、同定係として協力することになった。アフリカのサスライアリは100万単位の巨大な巣を持つが、その資源量と微環境の多様性が相俟って、1つの巣に100種近い甲虫が共生している。アリ−甲虫、甲虫−甲虫という複雑な関係が交叉し、それは混沌とした共生系となっている。ハネカクシの群集や行動に関する研究ではまとまったものがなく、誰か目をつけないだろうかと思っていた。そのような背景で私も数年前からアフリカの種について勉強を始め、いつかの調査に備えて同定眼を身につけていたところだった。実は申請中の科研費の課題でもある。そういう時機というのは不思議なほどに一致する。そう思っていた矢先、同じくドイツ人の蟻鳥(サスライアリの行軍に驚いて飛び出す虫を食べる鳥)の専門家のペテルズさんも似たような研究を始めるということを聞いた。こうなると、もはや不思議というより恐ろしい。