断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日でBukit Fraserとお別れ。なかなか採集の難しい場所で、一見単調な昆虫相だが、粘れば変わったものが採れるという印象だった。また、ホテルから採集地が近いし、Cameron Highlandsのように山が荒れておらず、今回のようにしばらく滞在して採集するには最高の場所だった。再び訪れたい。

8時半に朝食をとり、まずはホテルの会計をする。3人部屋が一泊88 RM、1人部屋が55 RMだったが、Rosliさんの口利きで1割引いてもらい、3部屋7人4泊で831.6 RMだった。朝昼晩の食事をホテル下の食堂でとったが、7人全員であわせて550 RM程度。意外に安く上がってよかった。

会計後、片山君とともにBishop trailに向かう。途中、小松君が見つけた生きた化石ハラフシグモの観察をする。崖の表面に蓋付きの横穴があり、そこから放射状に糸が張ってあり、その糸に触れると、巨大なクモが顔を出し、獲物と間違えて捕まえようとする。最初は巣穴を掘り出して捕まえる予定だったが、小松君が枝を突っ込むと、びっくりしてクモが飛び出してきた。まるで重戦車のようないかめしいクモだった。

Bishop trail では13基のFITの回収。良い林だが、4晩という時間の短さも手伝って、あまり良い成果とはいえなかった。それでも、大型のキボシセンチコガネBolbochromus sp.や好蟻性のオニミツギリゾウムシParamorphocephalus sp.などはGombakで見たことがなく、嬉しいものだった。好蟻性ハネカクシはヨコヅナアリのものが多い。11時に急いで宿に戻ると、マラヤ大のワゴンが来ていて、その足でこんどはJeriau WaterfallのFITの回収に向かう。滝に用事のある藤原さん、細石君、小松君、片山君も一緒に。Bishop trailが標高1200mであるのに対し、Waterfallは800mなので少し暖かいようで、入っている虫の量がかなり多かった。ここでは、Bishop trailとは別のキボシセンチコガネ2種や変わった好蟻性ハネカクシ数種が得られた。比較的貧弱なアリ相を考え、これらのハネカクシの寄主の想像がだいたいついた。片山君は自分のトラップを仕掛けておいたようで、大量の糞虫を採集していた。

昼食後、Gombakへ向かう。そろそろ疲れも寝不足も限界で、みな早々に熟睡。気がつくと少し手前のパーキングで休憩していた。渓谷のそばにある良い感じのところで、アカエリトリバネアゲハが乱舞していた。

Gombakについたのは17時過ぎ。米を炊き、ラーメンをつくる。毎日食堂の食事はよかった…。

食後に小林さんと糞虫のトラップを仕掛けに行く。大島君、細石君、片山君の3人はライトトラップをしているので、仕掛けたあとに様子を見に行く。お月見だが、風がなく蒸し暑いので、そこそこの虫が来ていた。

こちらは早めに戻って、この日記を書く。ライトから戻ってきた片山君の採集品を見ていたら、なんと好蟻性のオニミツギリゾウムシが入っていた。初日に切り倒した木についていたそうだ。明日、その木の様子を見に行こう。

写真:FITの設置状況。