断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

遠征に持っていくねじ蓋式のチューブ類(2ml)。わたしの好きな虫は5mm以下なので、毒瓶で殺したあとはほとんどチューブに入れ、アルコール中で保存ししている。昔はタトウを使っていたが、高温多湿ではカビやすいし、小さな虫は壊れたり失くしやすいので、最近はほとんどチューブに統一している。大きな虫はほとんど採集しないが、稀に欲しいものがあったときにはタトウに入れ、シリカゲル中に保存して持ち帰っている。

液浸の良い点は、1ヶ月ほど置くと標本に染み出した脂や蛋白ほどよく取れ、体表のとてもきれいな乾燥標本になるところである。乾かす前にアルコールを交換して1日くらい置くとなお良い。欠点は、アルコールを吸って虫が膨らむことである。ハネカクシなどは圧力で後翅が飛び出してしまい、使い物にならなくなる。私の場合、毒瓶で1晩置いた後、先の鋭い針で腹部の節や胸と腹部の間を刺し、液浸にしている。穴を開けることによって、標本が膨らむことがなく、翅が飛び出ることもない。(DNA抽出を考える場合は2-3時間毒瓶において、そのままアルコールに漬ける。)

本当は左上のNALGENEが最高なのだが、高すぎて採集にはもったいない(1本70円ほど)。なので今は下(左下がキャップ、右がチューブ本体)の安物を主に使用している(1本13円ほど)。安物の欠点は、数ヶ月でアルコールが抜けることで、これはキャップにゴム輪がついていようがいまいが関係ない。これに関して、先日のマレーシア調査から実践しているのだが、チューブのなかに気泡が入らないように蓋をすると、アルコールが抜けにくいことがわかった。チューブにアルコールを一杯に満たし、蓋にもアルコールを満たした後、一瞬で蓋をひっくり返して蓋を閉める。ちょっとマヌケだが、テープを巻く手間やその後の気化の心配を考えると、わずかな仕事である。マレーシアから帰って2ヶ月以上が経つが、常温においてあるほとんどのチューブでアルコールがそのまま残っている。

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