断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

あることを何気なくある人に伝えたら、「それ村上春樹で読んだよ」と指摘されてしまった。もちろん意識的に引用したわけではないのだけど、少し悔しい。まあ、その人は何でも読んでいるので、「それ堤中納言物語で読んだよ」とか、「それ日本書紀で読んだよ」とかいうことにもなりかねない。村上春樹で思い出したのだが、『日々移動する腎臓の形をした石』の一節に「職業とは本来は愛の行為であるべきなんだ」という科白があった。これ、いい科白。
今日はインドネシアのボーゴール植物園から三島さんへお客さん。それで思い出したのだが、先々週は大阪の民博から民族植物学者(ethnobotanist)のNZ人の方が来ていた。主にサトイモとアダンを材料にしてそれらの拡散と利用の歴史を調べているそうだが、私も非常に興味ある分野なので楽しい時間を過ごすことができた。
関連して、民族昆虫学(ethnoentomology)という分野もあるのだが、日本では非常に未開拓の研究分野といえる。人間と虫のかかわりの非常に深い日本であるにもかかわらず、それは非常に惜しいことで、たとえばいろいろな虫の呼称(≒和名)の由来の考察をまとめた本さえない。膨大な文献を所持する一部の昆虫学者にはそういった分野に造詣の深い方もおられ、数冊の類書も出されているが、独立した研究として本格的に取り組む人が現れると面白いと思う。
参考書をamazonで買うときに、「おすすめ」で、『We All Love Ella』というCDを同時に注文した。エラ=フィッツジェラルドの歌った名曲を錚々たる歌手がカバーした内容で、確かに「おすすめ」だった。一押しは(このLPのなかでは例外的な)スティービー=ワンダーとエラがデュエットで歌う「You are the sunshine of my life」。
富山大の鈴木先生から原稿の依頼。身に余るものだが、締め切りは相当先なので、じっくりとご一緒に練らせていただくということでお引き受けした。