断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

フィールド自然史博物館でポスドクをしていたもう一人の日本人で菌類の分類をしていた保坂健太郎君が科博の植物研究部に就職が決まったそうだ。たまに飲むなど個人的な付き合いしかなかったので、あまり研究のことは知らなかったが、他所からの話しによると菌類の若手ではずばぬけて優秀だそうだ。めでたい。
彼は学部まで沖縄で過ごしたあと、修士からアメリカに渡って、オレゴン州立大で学位を取得、それからフィールド自然史博物館のポスドクに就いていた。
シカゴで現地の学生や大学院生と知り合って、彼らの説明能力の高さや知識に触れるにつれ、ヤル気のある日本人の学生はどんどんとアメリカへ留学して勉強してくればいいと思ったが、こうして見事に就職できた例を間近に見ると、ますますその思いは強まった。研究職の獲得に少なからずコネが作用していた時代も終わりつつあり、海外にいることによって不利なことも少なくなってきたのではないだろうか(日本へ帰ることを前提とする必要もないが)。
もちろん、個人の資質によって一概にアメリカの教育のほうが優れているとは言えないが、教育制度やカリキュラムを見ると、アメリカの学部生や院生のほうがずっと幅広く勉強し、研究に必要な教養を身に付ける機会は多い。また、言葉や文化の問題や、高い学費の問題もあるが、20代前半であれば、アメリカの言葉と文化に馴染むこともたやすいはずだし、奨学金制度が充実しているので、経済的な問題も日本よりはむしろ少ないかもしれない。
こういうことは日本の大学に勤めるものが言うべきではないのかもしれないが、これからいろいろと考えていきたいとは思っている。
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東海大出版より「藻類30億年の自然史―藻類からみる生物進化・地球・環境」、「潜水調査船が観た深海生物―深海生物研究の現在」、「鉱物観察ガイド (国立科学博物館叢書)」が届く。いずれ詳しく紹介したい。ちらっと「深海生物」を見たが、息を呑むようなすごさ。深海魚ファンにはたまらない。
託児室関係の仕事が一息ついて、夕刻よりポスター準備の続き。ポスター監督よりも託児室で子供と遊ぶほうがいいな。