断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

昨日はよく眠れず、昼に起きる。昼の支度を済ませてすぐにホームセンターへ出かけ、タマネギの苗を一束買う。この時期、50本500円程度で、どこにでも苗が売っていることを最近知った。そういえばこのごろ近所の畑に鉛筆のようなタマネギの苗が植わっているのを見た。うちではラッカセイの跡に植えるつもりだが、そのラッカセイがまだ青々と茂っていて、収穫の機会が読めない。しばらくはタマネギの苗に辛抱してもらって、今週の半ばにラッカセイを掘り起こそうと思っている。
それから床屋へ行く。昨晩飲みすぎて寝の足りないような顔をしたお兄さんがやる気なく切ってくれ、次に顔剃りの担当に入れ替わった。最近床屋へ行って困るのは、必ず「眉毛の下を剃りますか?」と訊かれることである。私は男が眉毛を整えるのが大嫌いで、剃っている人を軽蔑するし、セールスマンがそのような眉毛をしていたらついつい不快露わな態度で臨んでしまう。少なくとも私の友達には一人も眉を整えている人はいない。顔つきがその人の人格を表現するのであれば、眉毛はきわめて重要な人格の要素であり、眉毛を整えることには自らの人格表現を簡単に変えてしまう薄っぺらさがあるのだ。そのようなわけで「眉毛の下を剃りますか?」と訊かれると、「結構です」と言いつつ半ばうろたえてしまい、間違って剃られてしまわないかと心配になって感覚を研ぎ澄ましパッチリと目をあけて顔を剃られることになる。
いい加減に論文が進まないので、週末は1日出勤して、趣味的な虫の小論文を書くことにした。もう1日は自宅で和文を書く。そして平日は雑務を縫って本業の虫を研究する。ここへ来てうれしいのは、4年生の卒論の担当になれそうなことである。平日は山本君も来るし、やっぱり学生を相手にするのは楽しい。最近山本君の言った一言が心に残った。私の論文を見て「論文とはかくも美しいものですね」。私もそういう感覚を思い出して本当に美しい研究がしたい。