断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

新熱帯には独特な多様化を遂げた分類群が多い。チョウであればドクチョウやシジミタテハなどがあるだろう。甲虫では何と言ってもカブトムシの多様性がすばらしいが(その代わりクワガタは全体にやや貧弱)、他にもいろいろある。そのひとつが以下のオオキノコムシである。何が独特かというと、その色と形の豊かさである。他にも蛍光ピンクの紋があるもの、全身きれいな青のものなどもいた。一方、旧熱帯では黒地に赤い紋をほぼ基調とし、楕円の体型のものが大半で、新熱帯のものに比べればかなり単調である。
独特な臭気(まさにキノコを濃縮した臭い)を持つので、オオキノコムシの色彩は警告色と考えられる。旧熱帯では他の甲虫と色彩を同調させたミュラー型擬態と考えられるが、新熱帯の種のこの豊かさには何の意味があるのだろうか。おそらく捕食者相との関係があるのだろう。キノコにもいたが、よく飛ぶためか、漠然と葉の上にいるものが非常に多かった。このあたりも捕食者相に関係しているのかもしれない。それを想起させる事例として、葉上に住むハムシの色も警告色だが、これは世界のどこでも豊かな色と形を持っている。やや乱暴な意見だが、こういうものは想像で楽しむほかない。(エクアドル、Archidona)
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ついでに道路上のコウモリの死体にきていたシジミタテハRhetus periander。すばらしい色彩にしばし見とれた。(エクアドル、Tena近郊)