断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

7時すぎに中瀬君に起こされる。寒い。15度くらいか。それから別府さんおすすめのインド料理店へカレーを食べにいく。最初にごはんを盛ってもらい、そこに自分で好きな具を乗せる。それからテーブルに店員が来て、事細かに料金を計算する。たぶん、肉が一かけら入っているとか、カレーがどれくらいかかっているとか、詳細な料金設定があるのだろう。なかなかおいしい店だった。
8時半すぎに宿を出て、9時すぎに19マイルに到着。今日もすばらしい天気だ。まずは別府さんと中瀬君と川のほうへ行き、蝶を採っている人にハチの巣の場所を聞く。話しを聞くと、どうもヒメスズメバチのようだ。早速、連れて行ってくれるというので、ついて行く。途中、川を渡渉するところがあったので、私は遠慮してFITの様子を見に行くことにした。2種のキボシセンチコガネが落ちていた。見終わる頃に別府さんたちが戻ってきた。巣は予想通りヒメスズメバチで木のうろにあるために採れないとのこと。

12時に集落の下の売店でパンを買い、昼食。松村さんが網の枠を壊して戻ってきた・・・。それからにわかに曇りはじめ、雨が降り出してきた。少し雨脚が弱まってから、丘のほうへ採集に出掛ける。しかしまた強くなってきたので、昨日のハムシを採ってくれた家族の家へ行く。おじいさんが出てきてハムシを出すが、同じものばかり。息子夫婦が帰ってくるというので、家で待たせてもらう。
しばらくして戻ってくると、私が好きそうないろいろな虫を採ってきてくれていた。ハムシのほか、ミツギリゾウムシやコガシラアワフキやシムウゾなど。おじいさんにはおまけで3リンギ、お母さんには8リンギ支払った。この家族は虫で生計を立てている。

雨がやんだので森へ行く。しかしまた降り出してきた。FITを確認して、集落へ下り、雨宿りがてら、先ほどの家の床下にいた子犬と遊んだ。しばらくしておじいさんに家に上がれと言われたので、上がって紅茶をもらう。飲みながら2歳くらいの子供と遊ぶ。私が変な顔をすると大喜びしていた。その子は子猫を飼っていて、後ろ脚をつかんで遠くへ放り投げたり、床にたたきつけたりする様子を見せてくれた。おじいさんにたしなめられていたが、猫という動物の丈夫さに感心した。

雨脚が弱まったので、バス停で雨宿り。中瀬君と松村さんがいたが、3人とも疲れ果てて声も出なかった。バス停はこの集落の社交場で、常に誰かがいて井戸端会議をしている。
4時過ぎにバス停を出て、途中、道端の原住民の売店でオオミツバチの蜂蜜を買ったり、野生のドリアンを買って食べたりした。このドリアンが非常においしかった。
17時半に宿に帰着。18時から近くの中華店でスチームボートという鍋料理を食べる。鍋に仕切りがあり、鳥がらスープとトムヤムスープが入っている。そこに各種の野菜、牛肉、鶏肉、魚、エビ、イカなどを入れ、最後に麺を入れて卵を落とす。涼しいこの地の中華屋には必ずある。
夕食後、Gunung Brinchangという山へ灯火採集に行く。別府さんの案内で標高1700mの谷底を見下ろす場所に設置した。標高は1800メートル程度で、気温は15度ほど。それでも多くの蛾とヤミスズメバチが飛来した。

22時半ごろに宿に戻り、標本を整理して早々に眠る。お母さんの採集品にはなんとマンマルコガネが入っていた。松村さんも良いマンマルコガネを一つ採っていた。
それにしても私の虫の成果はない。今回、学んだのは、11月のマレーシアには虫がいないということである。