断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今回の調査では1万5千頭程度の甲虫を採集した。本業の虫はいま一つだったのだが、副産物は多かった。今回から中瀬君の影響で灯火採集に目覚め、これによる収穫も多かった。通常、灯火採集では、幕を張って、そこに光を当てて虫をおびき寄せ、幕にひっついたり、周囲に落ちた虫を採集する。しかし、中瀬君はネジレバネを採集するため、灯火の下に受け皿を置き、そこに直接虫を落とし込む方法をとっている。この方法だと、幕を張って見つけどりすると見逃してしまうような小型の甲虫が非常に多く採れる。これは目から鱗だった。これまで微小甲虫(=面白い甲虫)の採集には灯火採集を馬鹿にしていたが、それは大間違い。今後の調査では不可欠なものとなった。また蛍光灯で放置しておくと、通常の灯火採集では(体力的に)できない時間帯に飛来する虫も採集できるのだからすごい。今回は生態研の田中君に付き合ってもらって、毎日のキツイ崖登りに通えたのもの大きな収穫につながった。

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論文PDF: MARUYAMA, M. & HAYASHI, M. 2009. Description of the intertidal aleocharine Halorhadinus sawadai sp.n. from Japan, with notes on the genus Halorhadinus SAWADA, 1971 (Coleoptera: Staphylinidae). Koleopterologische Rundschau, 79: 71–82.
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