断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

2011年のおもな出来事

  • ロンドンに2カ月滞在し、日本のヒゲブトハネカクシ亜科のタイプ標本をすべて見てきた。3月3日に到着し、落ち着いたところで大震災の報道を現地で見る。日本よりも深刻な報道に暗澹たる気持ちで2カ月を過ごすことになった。
  • 4月終わりからジュネーヴに移動。ヒメサスライアリのタイプ標本の検討。スイスフラン高で物価が高くて飢え死にしそうだった。
  • 5月にタイのチェンマイで採集。雨季の始まりで、虫は非常に多くて楽しかったが、研究上のさしたる成果はなし。
  • 6月中旬に「ツノゼミ ありえない虫」が出版された。昆虫の本としてはかなり売れた。(私が金持ちになったと思っている人がいるが、そんなことは決してないので、念のため。)
  • 同じく6月中旬に環境省の会議があり、情報をかき集めてなんとか原案を作成したレッドリストが認められた。この作業を通じて日本の激しい環境変化の様子を改めて知ることができた。
  • 6月下旬からマレーシアのフレーザー山で採集。同行者の協力で、すばらしい成果。7年にわたるマレーシアの調査で、ようやく必要なものがそろった。
  • 7月中旬から学生さん主体でMushi Atsui展を開催。不十分な予算(持ち出し)で最大限のことはやった感じ。おかげさまで好評だった。
  • 8月下旬に10日間シカゴに行き、ロンドンと同じ目的で日本のヒゲブトハネカクシ亜科のタイプ標本を見てきた。
  • 9月下旬から1カ月間マレーシアとタイをまわり、今後の重点調査予定地を探したり、調査の打ち合わせを行う。
    • ボルネオのランビル国立公園では京大組の樹冠調査を手伝わせてもらい、そこのアリの巣からすごいものが・・・。
    • マレー半島ペナン島、ラルト山、キャメロン高地、レダン山、ゴンバッ渓谷などをめぐる。
    • 途中、タイのハジャイでアリ学会に参加。
  • 11月、今年唯一のまともな論文をZootaxaに出版。時間がなく5年越しになってしまった。樽のなかで熟成しただけあって、良い論文になったと思う。同誌の11月に最も読まれた論文となったのも嬉しかった。

いろんな予算で海外をまわらせて頂いたのは有難かった。来年以降も責任感はほどほどに、「空気読めない人」で邁進の予定。
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午後から大学へ。金尾君と弘岡君が来ていた。私は交尾器の絵描きと年明けの調査の準備。