断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日まで宮田さんご夫妻のお世話で、高知県潮間帯ハネカクシの採集に出掛けていた。九大の前でレンタカーを借りて、金尾君と山本君が同行した。
20日は物部川河口付近、夜須で採集を行い、40年ぶりの再発見となるものを含め、珍しいものもいくつか得ることができた。その夜は高知昆虫同好会の方々のはからいで歓迎会を開いていただいた。おいしい物ばかりで黙々と食べてしまった。歓迎会の前に3人でちょっとした研究発表会を行った。
21日は四万十川河口付近で採集。主目的は以前に宮田さんがカーネット法で採集されたHalorhadinusというハネカクシの未記載種と現在系統学的位置を研究しているウミミズギワゴミムシだった。残念ながら前者は全くダメだったが、後者は無事に採集することができた。夜は市内の居酒屋で、地元の食べ物を味わう。塩たたき、ゴリの唐揚げ、アオリイカのてんぷら、たけのこ、シイ(ムラサキインコ)、アオノリのてんぷら、アオサのてんぷらなど。どれもおいしいものだった。
今日は朝からひどい嵐で、まったく採集どころではなかった。朝早く四万十市を出て、そのまま福岡に帰ることにした。ところが山口に入ったあたりで天候が回復したので、津屋崎に寄って採集することにした。現在山本君が研究しているヒゲブトハネカクシ属の好む環境が広がっており、たくさんの個体を採集することができた。
高知は人柄がすごく良くて、驚くほどだった。心の温まる出来事の何度あったことか。気候に恵まれた暖かい地方というのは、当たり前かもしれないが、人々が穏やかだ。シイやタブの新芽の色鮮やかな山並み、広大で水清らかな河口、道路で寸断されない自然海岸、また必ず訪れたいと思った。
今回は往復で1500キロメートル以上走行した。金尾君が何度か運転を代わってくれて助かった。