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断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

山本君の力作論文が出た! 2年じっくりかけただけのことはある。私は外見で種を区別できないと思っていたのだが、山本君は有用な形質をいくつも見つけた。時間をかける大切さ、形態を見る感性の大切さを、山本君に改めて学ばされた。また、この仲間は分類が終わっていると信じていたが、そんななかで3新種も見つかったのは驚きだった。
Yamamoto, S., Maruyama, M., 2012. Revision of the seashore-dwelling subgenera Emplenota Casey and Triochara Bernhauer (Coleoptera: Staphylinidae: genus Aleochara) from Japan. Zootaxa, 3517: 1–52.
http://www.mapress.com/zootaxa/2012/f/zt03517p052.pdf(PDF注意)
海浜性ヒゲブトハネカクシ属の日本産2亜属の検討で、以下の種が記載・再記載されている。

Emplenota亜属

Triochara亜属

  • Aleochara (Triochara) trisulcata Weise, 1877 ホソセスジヒゲブトハネカクシ
  • A. (T.) zerchei (Assing, 1995) ニセセスジヒゲブトハネカクシ
  • A. (T.) nubis (Assing, 1995) エゾセスジヒゲブトハネカクシ
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朝からAZECの国際シンポジウム「人文系と自然系博物館の教育連携」で西南学院大学へ。全国各地から、博物館、動物園、水族館、関連企業の人たちが集まった。この業界の人たちがこれだけ集まる場面も少ないだろう。
アメリカのジョージ=ハインとイギリスのデビッド=アンダーソンという博物館教育の超大御所の講演を聞いた。実例報告に加え、きわめて思想的な内容で、面白いには面白かった。しかし、欧米の博物館と日本の博物館の格差を改めて感じるばかりで、すぐさま日本における活動に役立つ内容ではないと感じた。そもそも、欧米の大きな博物館では、考古や民族学あたりまでは自然史系に含まれているので、文系理系美術系に端から分かれている日本とは事情が根本的に異なる。そして活動に確固たる思想を持ち込む背景には、歴史的な長さに加え、組織力の充実によって、細々とした仕事に多様な理想が入り込んて根付く余地があるからだと思われた。日本のいかなる博物館とも、次元が違うという印象。なんでもかんでも学芸員が「雑芸員」として行わざるをえない日本では、おのずと教育活動に限界がある。
その後は懇親会。魚介中心で、これまで出たどんな学会よりも豪華でおいしい食事だった。大量の寿司が余るという事態。九州で学会をやる際に参考にしたいと思った。