断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

アリヅカコオロギの標本

沖縄の杉本君からアリヅカコオロギ、ウミハネカクシ、ヒゲブトテントウダマシの標本が届く。いつも気を遣ってもらって、感謝に堪えない。

アリヅカコオロギは驚くような種で、おそらく新種、少なくとも日本未記録種である。早速、溜まっていた標本とともに信州大学の市野さんとその学生の小松さんのところへ送った。アリヅカコオロギは形態形質に乏しく、分子と形態の両側面から進化と分類を追っている。

ヒゲブトテントウダマシはアシナガキアリの巣から得られたもので、好蟻性種である。古くは江崎悌三がミクロネシアで同じアリから採集した記録を発表している。

アシナガキアリはアジアの暖帯から熱帯に広く分布するが、アジアのものはアフリカ原産の移入種といわれている。しかし、アジアの各地で特有のアリツカコオロギとともに暮らしているのを見つけており、そういう発見をするたびに、本当に移入種なのだろうかと不思議に思う。なお、アリツカコオロギはアシナガキアリの原産国とされるアフリカには分布していないので、アシナガキアリの移動とともにアリツカコオロギが分布拡散したとは考えにくい。