断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

「明治日本見聞録 英国人家庭教師婦人の回想:エセル=ハワード(著)、島津久大(訳)」

これは先日の「英国人写真家…」と同じ講談社学術文庫の「幕末・明治の激動の時代」シリーズの一つである。これも大変に面白かった。明治34年から7年間、元鹿児島島津藩主の島津家の家庭教師として日本に滞在したハワード女史の回想録である。華族の家庭での生活の描写が中心だが、女性ならではの繊細な観察眼から、当時の日本の家庭の生活様式も垣間見ることができる。慣れない習慣のなかで気丈に過ごしたハワード女史の力強さや、責任感や忍耐の大切さを身につけた島津家の子供たちの精神的な成熟には、いまの自分の怠惰な生活を省みると身の引き締まる思いがした。

明治日本見聞録 (講談社学術文庫)

明治日本見聞録 (講談社学術文庫)