断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

5時半起床。宿酔い。前日から実家に泊まっている鶴君と小松君を起こす。6時半に家を出て8時過ぎに成田空港へ着く。京成線の車内は成田空港の職員でほぼ満員だった。

荷物検査では預け荷物に入れていた2本のライターが引っかかった。手荷物で1人1本のみ持ち込み可能だそうだ。1本を小松君に渡す。ペットボトルの試薬や大量のアルコールは問題なかった。チェックイン時、3人分の荷物は80キロだったが、一人25キロまでなので、5キロ分の超過料金約25000円が必要とのこと。冗談じゃない。普段は30キロまで目をつぶってくれるのだが。急いで鶴君のザックから荷物を出してもらい切り抜けた。

雑誌とお土産の和菓子を買い込み、10時半に成田を発つ。機内は空いており、横になってゆっくりと眠れた。

クアラルンプールには17時過ぎに着く。出発階へ昇り、薬局でREPELLAという防虫クリームを買う。日本のものよりも数段よく効くうえ、汗に強い。両替ののち、タクシーでいつものShah’s Village Hotelへ向かう。

外はむわっと暑い。早くも熱帯へ来たことを実感する。ホテル着後、早速いつもの中華料理店へ。

9時過ぎにホテルを出て大学へ行く。久々にロスリーさんにお会いし、嬉しくなる。ロスリーさんのパジェロへ荷物を載せて早速買出しへ。ジャスコのある大きなモールへ行き、まずはトランシーバーを探す。こちらではwalkie-talkieと言ったほうが通じる。店を5件くらいまわり、ようやく手ごろなものを見つける(88RM≒2700円)。日本の市販品と違い、3キロまで通じる。その後、ジャスコで当面の食事を買い出す。ラーメンが基本で、夕飯用に米と缶詰を買う。加えて間食の菓子類と紅茶。

買い物後、Field Studies Centre(以後、宿舎)のあるUlu Gombakへ向かう。途中、Sri Gombakという町でマレー料理のナシチャンプルーをいただく。数種のカレーや野菜炒めなど、ご飯の上に好きなおかずを盛り付ける最も一般的な食事である。車中、ロスリーさんに宿舎の様子をうかがう。先月までドイツのMaschwitz一門が調査に来ていて、おそらくMaschwitz さん最後の調査だったとのこと。一歩遅れてお会いできなかったのが残念だ。

14時にField Studies Centreへ到着。早速、森へ出る。今回の最大の目標は、Mimaenitus wilsoniProcantonnetia malayensisという2種のハネカクシである。いまから30年以上前にアメリカのDavid Kistner氏らがここを訪れ、ヒメサスライアリの一種Aenictus laevicepsから採集している。その後は得られておらず、いつも気には掛けていたが、一度も出会う機会はなかった。現在進めている研究の要となる材料であり、今回どうしても採集したい。このために1ヶ月の調査機関を設けたといってよい。

夕方近くなり、歩道を歩いていると、いるではないか、そのアリが。さてどうしようものか、誤って行列を見失わないだろうか、気持ちが昂ぶる。それからひたすらに行列を追って野営巣(bivouac)の場所を探した。

小松君がMystriumという珍しいアリを採集してきていた(写真も小松君)。

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夕食後、再びAenictus laevicepsの場所を訪れると、すでに巣の移動が始まっていた。ハネカクシは移動中の行列にしか見られない。行列の前に寝転がること数分、すぐにハネカクシが現れた。なんと探し求めていたMimaenitus wilsoniではないか。主目的に半分は初日に達成されてしまったわけである。その後、行動観察をしながら10数頭を追加し、帰途に着いた。

夜は昼間の暑さを忘れてしまうほどに涼しい。近くの渓流や森のおかげである。そして虫やカエルの声の騒々しさ。