断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

ニュートンさんとマーガレットさんが採集にでかけるというので、タロー君とともに便乗させていただくことになった。10時にアパートの前で拾っていただき、まずは車で15分ほどのOttawa Trail Woodという森へ行く。ここもセミの多い場所である。最盛期を過ぎたようで、あちこちに死骸が目立つ一方、交尾や産卵をしている個体が目に付いた。健康な成熟個体は基本的に木のこずえで鳴いており、地面近くにいるのは羽化したてのものや、羽化に失敗して翅の伸びていないものばかりである。バラ科の低木の汁が好みのようで、そのような木では健康な個体も低いところで見られる。

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昨年は湿っていたそうだが、今日の森はカラカラに乾いている。かろうじて樹皮下のケアリの巣からハネカクシを1頭得た。倉敷の奥島さんに輸送用のタッパーを送っていただいたので、そのお礼にジョウカイボンを探す。日本の種と同じような習性のものが多いようで、アリマキのついた草本に多くの個体が集まっていた。

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どこにでも普通にいるのがこのマルハナバチに擬態したイシアブの仲間である。日本のイシアブもマルハナバチに擬態していると考えられ、オオマルハナバチに似た黒地に赤の色彩を持っている。こちらの種はそれとはまったく違った色をしているが、確かにそっくりなマルハナバチが近くにいる。

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次にPalos Forest Reserveへ移動する。Spears Woodという場所で、前回と前々回訪れたWhite Oak Woodstohaずいぶん雰囲気が異なる。駐車場の脇にナラの巨木が立ち枯れており、何百というフタスジナガタマムシAgrilus bilineatusが集まっていた。

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林内は乾いており、虫が少ない。セミの注文が多かったので、今日もせっせと採集をする。珍しく、セミがびっしりと集まっている木があった。さきほど言ったように、健康なセミは樹冠にいるので、特定の樹種を除き、このような光景は見られない。テレビで幹にびっしりと貼り付いているのが映っているが、あれは羽化したての個体が飛び立つ機会を待っているのである。池の脇の草原に生える潅木にこのような木が数本混じっていた。

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草原に咲くマーガレットに色とりどりのカミキリムシが集まっているのには驚いた。これも日本ではあまり見られない光景である。撮ろうと思ったら電池切れ。うっかり充電を忘れていた。その他、木の枯死部や倒木で数種のトラカミキリを得た。今日はカミキリ運が良い。17時になって車へ戻ると、ニュートンさんが大量のムツボシタマムシの一種Chrysobothrus sp.を採っていたので、場所を聞いて引き返す。数十匹が群がっていたそうだが、すでに陽が陰り、居残りの1頭を得たのみだった。また、マーガレットさんは立派なミヤマクワガタの一種Lucanus capreolusを採集していた。なかなか見られないものだという。ムツボシタマムシミヤマクワガタは次回の楽しみとしよう。

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ところでYouTubeのこの動画を見たら、セミを採集するときになんだか心が傷みました。

17 year cicadas outbreak : D